クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2019/10/12 ロッシーニ オテロ

この日はリヨンからフランクフルトへ、空路で移動したのみ。観光らしきことは何もしなかったので、ただちにオペラ鑑賞記となります。


2019年10月12日   フランクフルト・オペラ
ロッシーニ  オテロ
指揮  セスト・クアトリーニ
演出  ダミアンノ・ミキエレット
エネア・スカラ(オテロ)、カロリーナ・マクラ(デズデモナ)、テオ・レボウ(イヤーゴ)、ジャック・スワンソン(ロドリーゴ)、トーマス・ファウルクナー(エルミーロ)、ケルシー・ラウリターノ(エミーリア)   他


二日連続でロッシーニ・オペラを鑑賞する醍醐味。
あのね、みんなの大好きな「なんとかの理髪師」じゃないからね。そこんとこは、くれぐれもよろしく~。
指揮者も歌手も、いわゆるビッグネームはいなかったが、だからといって何だ。シンプルに観たい聴きたい作品を追いかける。オレはそれで十分満足なのさ。

まあ、その中であえてビッグネームを挙げるとするなら、それは演出家のミキエレットになるだろう。
私はこの演出家が好きだ。アイデアが豊富でありながら、それが単なるアイデアの披露だけで終わらず、とことん考え抜かれた舞台を創るからだ。
今回も、まさにそういう演出だった。随所にミキエレットらしさが散りばめられた、高度で念入りな演出設計である。

しかし・・・。
高度すぎて念入りすぎて、難しい。わからん。

彼は、ここに登場する人物たちすべてに「何者で、どういう性格で、何を考え、何を狙っているのか」という個性キャラクターをしっかりと作り出し、それを割り振る。そして、そのために必要とあれば、オリジナル設定も躊躇なく変更する。
一番分かりやすかったのが主役「オテロ」のアラブ商人(石油製品のバイヤーなのか?)なのだが、それ以外にもデズデモナとエミーリアを姉妹にしたりとか、エルミーノとイヤーゴを従兄弟にしたりとか、もう本当にわけわからん。本来悲劇であるはずの大団円が、なぜかエミーリアとエルミーノが結ばれてハッピーエンドになったりとか、頼むから止めれー。

解説が必要だ。お願い、解説してちょうだいプリーズ。
え?何? プログラムに記載したから、それ買えって?
いやいや、ドイツ語読めねえっての。

まあいいわい。それでも私はミキエレット演出、好きだぞよ。よく分からなかったが、彼はこの物語に何かを見出し、それを正々堂々と主張したのだ。その尖がり具合を私は評価するぞ。

歌手たちは、特に傑出した人はいなかったが、皆、指揮者のお許しを得て、ハイトーンやアジリタなど歌唱表現をかなり自由に披露した。それがロッシーニ音楽を大きく盛り上げることに貢献した。
彼らは演出家によってキャラクターを際立たせられているが、誰一人として音楽を、そして歌唱を見失わなかった。そのアプローチは大いに評価されよう。