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2019/12/8 フランクフルト・オペルン・ムゼウム管

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2019年12月8日   フランクフルト・オペルン・ムゼウム管弦楽団   アルテ・オーパ
指揮  セバスティアン・ヴァイグレ
ユーリ・レヴィッチ(ヴァイオリン)
ドヴォルザーク  ヴァイオリン協奏曲
ブルックナー  交響曲第6番


午前11時開演の本公演を鑑賞するため、早起きして午前5時にベルリンのホテルをチェックアウト。7時15分発のフライトでフランクフルトに移動した。

ところで、この「フランクフルト・オペルン・ムゼウム管弦楽団」をご存知か。
正確には「ダス・フランクフルターオペルン・ウント・ムゼウムスオルヒェスター(Das Frankfurter Opern- und Museumsorchester)」という。
かなり面倒くさいが、手っ取り早く言っちゃえば、フランクフルト歌劇場の座付オーケストラなのだ。
単純にそう名乗ればいいのに、なぜか「ムゼウム」というタイトルが付いている。

ムゼウムは、日本語で博物館。「歌劇場」と「博物館」のオーケストラ、という意味だ。
詳しいことは分からないが、オペラ座のオーケストラであると同時に、コンサート活動はフランクフルトの公立博物館機構が主催している模様。ならば、オーケストラにもその名を冠し、文化財保護活動の宣伝的一端を担う、ということなのかもしれない。

とはいえ、日本では取り扱いが難しいオーケストラだ。
仮に日本に招いてコンサートを行うとしたとしたら、コンサート・エージェントはまず「フランクフルト歌劇場管弦楽団」にしちゃうだろう。名称は重要だ。ブランドであり、そのブランド力、知名度がチケットの売上に直結する。

ところが厄介なことに、現地での略称は「ムゼウム・オーケストラ」ときたもんだ。「フランクフルト博物館オーケストラ」じゃあ、なんだか締まりがなくて、日本では絶対に通用しないよな。
もっともこのオーケストラが単体で来日を招聘されることもないだろうけどさ・・。

さて、会場入りし、自分の指定席に向かうと、そこには、おばちゃん、というより、もっとご年配のおばあちゃんが既に着席して、隣のお友達とぺちゃくちゃお喋り中だった。
「あのーすみません」と自分のチケットを提示すると、ニコッと笑顔で「ごめんなさい、私、この友達とお連れさんなんですよ。席を替わってもらってもいいですかね?」と返答してきた。(当然向こうはドイツ語だったが、何を言っているのか、すぐに理解できた。)
移るのは、すぐ隣の席。どうやら私が二人の間に割り込んでしまったようだ。
全然問題ないので、「構いませんよ」と答え、お二人の隣に着席。

それはいいのだが、そのおばあちゃんが今度は私に色々と話しかけてくる。ドイツ語で。
内容は、プログラムに書いてある出演者プロフィール欄を読んで、私に説明してくれる、というものだ。

こちらは愛想笑いしか出来ない。
普通ならウザったくなるところだが、お人好しなおばあちゃんが何だか微笑ましかった。この人きっといい人なんだろうな。開演前、ちょっと和んだ時間だった。

前置きが随分と長くなった。それでは演奏の感想に移ろう。
まずソリストのレヴィッチは、技術があって勢いがあり、天賦の才を感じさせる若きタレント奏者だ。音色がちょっと金属的だが、なかなかかっこいい演奏で、たくさん拍手をもらっていた。

次に、読響の首席指揮者として、日本でも名が知れ渡ってきたヴァイグレ。
泰然としてドンと大きく構えた、立派なブルックナーだ。タクトもあまり細かに振り分けない。ヴァイグレ、堂々たる風格がある。

実は読響で、来年12月にこの6番を披露する機会がある。今回のような演奏をしたら、きっと好感を呼ぶと思う。

ムゼウム・オーケストラ。
座付きオーケストラだと、日本ではウィーン・フィルが一番有名で、その次がベルリンとドレスデンのシュターツカペレあたりだが、総合的なレベルは当然そこまで行かない。
ていうか、弦楽器の響きなんかは、N響とか読響とか日本のレベルとそう変わらない感じがする。
一方で、日本のオーケストラと決定的に違うのが、ホルン群の響きの厚さ。個々の奏者たちのグレードと、アンサンブルの密度が絶品だ。ここらへんが「やっぱりドイツ、さすがドイツ」って感じ。
特にブルックナーは、ホルン・パートがしっかりしていると骨太で雄大になる。彼らが、「本場のブルックナーらしさ」に大貢献というわけだ。