クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

クルレンツィスへの期待

もしかしたら今年の日本クラシック界最大のイベントになるかもしれないT・クルレンツィス&ムジカエテルナの来日公演がいよいよ始まる。
宣伝チラシに踊っている「別格」という文句は、多少の煽りがあるとはいえ、あまりにも物々しい。
 
果たして事件となるのか、ここから伝説が幕を開けるのか。
それとも、評判倒れの肩透かし、はったり公演となるのか。
その答えは、会場に足を運んだ者だけが確かめることが出来る。
 
悲愴がメインの10日の公演(オーチャードホール)、チャイ4がメインの11日の公演(すみだトリフォニーホール)は、早々に売り切れた。プログラムの魅力がイマイチ弱かったせいで売れ残っていた13日の公演(サントリーホール)も、どうやら満員になりそうで、これでまずは受け入れ側の準備は整ったようだ。
 
初来日のため、生鑑賞派のリスナーはよく知らないかもしれないが、実は、録音鑑賞派の連中の方がクルレンツィスの実力、その凄さを既に十分に知っている。
既に出ているCDの数々は、驚きを持って愛好家に支持され、絶賛されている。音楽之友社が選定する日本レコードアカデミー賞では、ここまで3年連続の部門賞獲得、そして2年連続の大賞獲得という実績が、あまりにも輝かしい。
 
音楽的なアプローチ、その手法としては、既存の概念をすべてリセットし、ゼロからの再構築を図る。その際、一切の妥協を排し、指揮者の確信に至るまでとことん完璧さを求める。
聞いたところによれば、指揮者が満足するこだわりを完成させるため、練習や録音の繰り返しが深夜にまで及ぶことも珍しくないという。
 
驚嘆すべきは、モーツァルトのような古典から、今回のチャイコのロマン派、そしてマーラーからショスタコーヴィチ、ベルクに至るまで、どの時代の作品でも斬新な解釈を飛ばし、誰にも真似できないような新たな作品像を打ち立てることを可能にしている点だ。
そこらへんが、クラシック史に名を残しつつも、偏りが見受けられるアーノンクールクライバーといった風雲児たちとは、系統が異なる。
 
つまり、クルレンツィスは、これまでの誰とも違う偉業を成し遂げる可能性があり、革命的で唯一無二の絶対的存在に近づいていると言っても過言ではないのだ。
 
私自身も2017年ザルツブルク音楽祭でその鮮烈な演奏を聴いたが、大げさではなく「神体験」だった。
 
ついに日本でヴェールを脱ぐ噂のクルレンツィス。
期待しよう。期待しよう。期待しよう。