なんという格調高い演奏なのだろうか。これを名演と言わずしていったい何と言うのだろうか。
なんとなくそうなることは予想できた。
聴衆が選ぶN響に招聘してほしい指揮者ナンバーワンであり、巨大なNHKホールの公演を完売にさせることができる現存唯一の指揮者。
オーケストラ奏者もまた、これが特別な公演であることを十分に理解している。公演に対する意気込み、演奏に対する集中力たるや尋常ではない。
モーツァルトにありがちな娯楽性や愉悦さはない。また、巨匠にありがちな重たさもない。快活なテンポと引き締まった構成力で一気に演奏し終えると、固唾を呑んで身構えながら聴いていた聴衆からフーッというため息が聞こえた。
このような緊迫感は久しく感じたことがなかった。ひょっとするとギュンター・ヴァント以来かもしれない。
後半も、いかにもブロムシュテットらしい演奏。
この類稀なる硬派の音楽を聴くチャンスがあと2回(Aプロ)残っている。本日時点ではまだチケットは僅かに残っているらしい。断言するが、最終的には確実に売り切れ、当日券はない。まだチケットを買っていない諸君、急げ!