2015年9月26日 NHK交響楽団A定期演奏会 NHKホール
指揮 ヘルベルト・ブロムシュテット
ティル・フェルナー(ピアノ)
ベートーヴェン 交響曲第2番、ピアノ協奏曲第5番皇帝
川崎からハシゴで渋谷へ。衰え知らずのブロムシュテット翁を聴きに行った。
日本のファンから圧倒的な支持を得ているはずの老巨匠だが、この日は空席もチラホラ。公演成否のカギを握るメイン曲にコンチェルトを置いたことで、「何が何でも聴かなければ!」というファンの欲求がイマイチ盛り上がらなかったのであろうか。
とはいえ、ベートーヴェンの皇帝は大曲である。「主役はソリスト、オケは伴奏」といったヤワな作品ではない。「ブロムシュテットは果たしてオーケストラとピアノをどのように融合させ反応させるのか」、これに着目すれば、自ずと期待も膨らむというものである。
まず前半のベト2であるが、とにかくN響の喰いつきが良い。タクトに対する呼応が敏感だ。
もちろん、喰らいつきを良くさせる指揮者の腕というのもあるだろうし、楽団員にしてもブロムシュテットが振る公演の聴衆側の期待はひしひしと伝わるだろうから、当然の結果と言えば確かにそうかもしれない。
だがそうだとしても、これほど指揮者がやりたい音楽を再現してくれるオーケストラは貴重だろう。日本人という民族は、リーダーが示す方向性にきちんと納得し共感しさえすれば、それを忠実に実行する能力はあるということなのだな。(産業界でもスポーツ界でもそうだよね。)
演奏終了後の、ブロムシュテット氏の実に嬉しそうな会心の笑顔。演奏の出来に100%満足したのだと思う。まあ、ブロムシュテットは毎回必ずああいう態度を示すので、本当の心の内はよく分からんが・・。
メインの皇帝。
フェルナーは何度も日本に来ているのだが、何を隠そう私は初めて聴いた。率直な感想を言う。ファンの方、ごめんなさい、最初に謝っておく。
「なんだか、お高く止まっているピアニストだなあ。」
音は綺麗だ。知的である。ロマン的な香りもする。だけど全然面白くない。音楽の都で生まれ育ち、名ピアニストの薫陶を受けた誇り高さが、申し訳ないけど鼻につく。
ひょっとして、私はノーブルでハンサムでエリートな貴公子ピアニストに生理的な嫌悪感を抱いてしまったのだろうか??
「ブロムシュテットは果たしてオーケストラとピアノをどのように融合させ反応させるのか?」
そんなの全然分かんなくなっちまったよ、ったく・・。