2019年11月23日 NHK交響楽団 C定期演奏会 NHKホール
指揮 ヘルベルト・ブロムシュテット
合唱 新国立劇場合唱団
クリスティーナ・ランツハマー(ソプラノ)、アンナ・ルチア・リヒター(ソプラノ)、ティルマン・リヒディ(テノール)、甲斐栄次郎(バリトン)
モーツァルト 交響曲第36番「リンツ」、ミサ曲ハ短調
最初の曲、36番リンツの演奏の冒頭から、ブロムシュテットは自らのモーツァルト解釈の規範をきっちりと示した。即興的な要素、娯楽的な要素は極力除かれ、フレーズ、音の大きさ、奏法などはすべて指揮者の要求のとおりに統一されている。
リハーサルで徹底されたのだろう。枠からはみ出たり、揺らいだりすることを許さない、極めてまじめで丁寧なモーツァルトだ。
穏やかで優しそうな老指揮者だが、音楽はとても厳格。昔からそうだったが今もまったく変わっていないというのが、聴いていてよく分かる。
こういう演奏は、日本人に向いていると思う。N響にとっても、望むところだろう。このコンビがこれまでずっと良好な関係を維持継続してきたのも、そうした相性があるのではないかと感じた。
感心したのは、こうしたまじめでかっちりと様式を整えた室内楽的な演奏でありながら、スケールの大きさや高揚感がしっかりと伝わってくることだ。
それはつまり、我々聴衆が指揮者の説得力に圧倒されるからにほかならないが、その中には「92歳だというのにあの集中力とパワーは信じられない」という驚嘆の念が入っているから、というのが大きい。
92歳! マジかよ・・・。
N響の来年のスケジュールを見れば、10月にまた来日することが決まっている。
マジかよ・・・。
いったいいつまで予定公演を入れているんだろうねえ・・・。