5月の旅行からちょうど1か月。旅行記がまだ終っていなかった。
1日につき2記事(昼間の観光と夜の鑑賞)×滞在日数分。その上、日本でのコンサート日記も綴っているので、完結させるのはこれが結構大変なのよ・・・。
とボヤいてもしようがないので、なんとか最終回、頑張ってまとめます。
指揮 マリス・ヤンソンス
フランクフルトのコンサートホール・アルテオーパーは、写真のとおりいかにもヨーロッパ風の立派な建物で、近代的な都市開発が進む周辺エリアの中で、一際威容を誇っている。その名(アルテオーパー=旧歌劇場)が示すとおり、かつてはロマンチックな馬蹄形様式の内装を持ったオペラハウスであったが、戦禍にまみれた。ミュンヘンのナツィオナルテアターのように外装も内装もかつてのとおり再建されるものもあるが、ここは外観のみ元通り復元しつつ、中身は近代的なホールにリニューアルされた。劇場ではなくなったため、現在オペラは上演されない。
それにしても、なんと期待に胸躍る魅惑の公演であろうか!これはオーケストラ好きとりわけマーラー好きの人なら、誰もが聴きたい垂涎のコンサートに違いない。
私はこのオーケストラが大好きだ。そのうまさといったら!個人的に世界第3位のオーケストラだと思っている。コンセルトヘボウよりもシカゴよりも上の扱いね。
この日の演奏は実に洗練された華麗なるマーラーであった。ヤンソンスは複雑に交錯する楽器群の織り成しを丁寧に振り分け、鮮やかな造形を構築した。逆に言うと濃厚でドキツイマーラーが好みの人にとってはやや物足りなかったかもしれないが。
唯一残念なことがあった。アルテオーパーの音響である。
はっきり言おう。ここの音響はヒドイ。日本のどこのコンサート専用ホールよりも下。私はアルテオーパーは今回で3回目で、全て異なる場所で聴いている。「ひょっとして、どこかベストスポットがあるかもしれない」と探しているのだが、どこも全くダメ。どなたか知っている人がいたら、教えてください。
それから、お客さんの反応もなかなか興味深い。
演奏が終わった直後の観客の熱狂はそれはそれは凄かった。まさにブラヴォーの嵐だった。やがてスタンディングオベーションとなり、素晴らしい演奏をしてくれた指揮者と奏者たちに最大級の賞賛を贈る。
ところが、明かりが付いてオーケストラが「はいオシマイ」と袖に引っ込もうとするやいなや、さっと拍手が止んでしまい、お客さんもそそくさと退席し始めた。「あらら、もうオシマイですか??」
日本だったら、楽団員が引っ込んでも拍手は延々と続き、指揮者を単独ででもステージに呼び戻そうとする事象が起こるのだが。まあ習慣の違いと言えば、それまでですけどね。