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2013/1/20 都響

2013年1月20日  東京都交響楽団 マーラーツィクルス  東京芸術劇場
上野由恵(フルート)
モーツァルト  フルート協奏曲第2番
マーラー  交響曲第5番
 
 
 天下のウィーン・フィルが来日しても、ヤンソンスバイエルン放送響が来日しても、これほどの熱気に包まれることはない。もはや向かうところ敵なしの様相を見せる最強兵器、それがインバル&都響マーラーである。
 
 チケットは完売。ネットオークションでは高値取引。インバルに完膚なきまでに叩きのめされたいファンが集い、そして期待どおり叩きのめされて会場を後にする。
 
 
インバルのマラ5を聴くのはこれで5回目だ。
旧フランクフルト放送響、ベルリン交響楽団、フィルハーモニア管、そして都響で2回。
どのオーケストラでも変わらないのは、その怒濤のような演奏。豪放磊落、縦横無尽、嵐、熱狂、情熱、咆哮、絶叫・・・・。
以前は、ただその迫力とスケールの大きさに圧倒されるだけだった。実際、インバルがこれまでのオーケストラから引き出していたのは、そうした激しさや力強さだったと思う。
だが、今回の都響との演奏では、迫力の中に潜む微妙なニュアンス、色使いの変化を感じ取ることが出来た。
 
私は推測する。
インバルがそうした微妙な色分けにまで踏み込むようになったのは、都響の演奏水準が一段と上がり、更なる高みに到達しうる能力をインバルに堂々と示すことが出来たからではないだろうか。
 
インバルは内心驚いたに違いない。「都響のレベルはついにここまで来たか。」と。
だがすぐにこう思い直したはずだ。
「ここまで到達できたのなら、もっとレベルの高い要求に応えられるはず。」
 
まさに「究極を目指し続ける指揮者とオーケストラの果てしなき挑戦」とでも言おうか。
 
 折しも「音楽の友」誌の最新2月号で、このコンビの結晶が2012年ベストコンサートで総合第4位にランクされた。 誰もが目を見張り、そして注目しているのである。チクルスの後半シリーズ(第6番から第9番)もますます目を離すことが出来ないであろう。(セット券は早々に完売したとか・・・。恐ろしや。)