現在の本拠地ヘラクレスザールには何度か聴きに行っているが、伝統を感じさせる荘厳なホールだ。音響も決して悪くはない。
だが、やっぱりちょっと地味な感じがする。キャパシティもそれほど大きくない。
それに、元々オーケストラのためのホールではないので、控室が手狭だったり、設備も十分ではないという話を聞いたことがある。
やはり最高の音響設計が施されたコンサート専用の新ホールの魅力には抗えないのだろう。
ちなみにその一番重要とされる音響担当は、今や世界の最高級コンサートホールを手がける第一人者、永田音響設計の豊田氏。まるで彼が設計しないと極上の音響が作れない、最高級ホールが完成しない、みたいな音響界の神様だ。
新ホールの建設は常任指揮者M・ヤンソンスの悲願で、ポストの契約延長にあたっての条件であったという話も聞いたことがある。ようやく実現化することとなり、さぞお喜びのことだろう。
考えてみれば、世界の超一流オーケストラは、その名に相応しい本拠地ホールを持っている。バイエルン放響は世界のトップオーケストラの一つなのだから、その地位に相応しい最高のホールを持つべきだというのは、実に真っ当な話である。
問題は、おそらく2つ。
一つは、すんなりと予定どおりの2021年にオープンするのか、ということ。
ハンブルクの新ホールにしても、ケルンの歌劇場にしても、ウンター・デン・リンデンの歌劇場にしても、もっと言えばベルリンの新空港にしたって、とにかく延び延び。
ドイツってこういうのきちんとしていそうで、以外にダメ。ていうか全然ダメ。
もう一つは、オープンしたら、おそらく2、3年はまず間違いなく公演チケットが買えなくて、聴けないという事態が起こるだろうということ。現在のハンブルクのエルプフィルハーモニーの状況を見ていれば容易に想像がつく。
まあ私の場合、ミュンヘンに行く目的はバイエルン州立歌劇場がほとんどなので、それほど影響は受けないと思う。ホールよりもバイエルン放響の演奏の方が重要なのであって、そのバイエルン放響は2、3年ごとに日本に来てくれるのだから。
でも、まあやっぱり聴いてみたい気はするけどな(笑)。
ところでもう一つの雄、ミュンヘン・フィルはどうするんだろうね。
頭を下げて使わせてもらうのかな?(笑)。
プライドなんか捨てて、実を取る方が賢明かと思うけどな。