クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2010/6/2 フィルハーモニア管

指揮  エサ・ペッカ・サロネン
ヒラリー・ハーン(ヴァイオリン)
サロネン  へリックス
チャイコフスキー  ヴァイオリン協奏曲
 
 それにしてもヒラリー・ハーンは完ぺきだ。オールウェイズ、エブリータイム、エブリシングパーフェクト。
 終演後に一緒に食事をした友人が「彼女の特筆すべき点は、楽譜に書かれた全ての音が聞こえること。」と話していた。まったくそのとおり。よく指揮者や演奏家が「楽譜には無駄な音など一音たりともありませんから。」などとしたり顔で話すのを記事で見かけることがあるが、それを忠実に実現実行しているのが彼女である。
 それでいて決して機械的、無機質に陥ることもなく、常に思索の奥深くを探検し、我々に新しい発見を提供してくれる。
 
 ちなみに、上記の友人クンがヴァイオリニストで最も高く評価しているのがハーン。
 数年前、とある公演で、協奏曲で元々出演するはずだった日本人ヴァイオリニストがキャンセルとなり、急遽代替でハーンが出演した。会場で、ハーンのことを知らなかったらしい見ず知らずのお客さんが「あらまあ、変わっちゃったの?残念ねえ~。」と漏らしたところで、友人は思わずそのお方に話しかけてしまったそうだ。
 
「あのう・・・もしもし、すみません、率直に申し上げますと、圧倒的にハーンの方がいいですよ!」
 
なるほど、もう、言わずにはいられなかったというワケですな(笑)。
 
 昨日の彼女、演奏もさることながら、赤のドレスがバラの花のごとく鮮やかでした。私も思わず見とれてしまいました(笑)。
 お顔立ちも引き締まっていて、眼光キラリ、なおかつ聡明そうで、本当に知的な美人。素敵です。
 
 
 
あっっ!そうそうサロネン(笑)。
そうですよ、この日はサロネン指揮フィルハーモニア管のコンサートだったわい。
 
「知的」という意味では、サロネンも同じ。彼ほど洞察力の優れた指揮者はそうはいまい。
この日のシベリウスも、独自のアプローチで新たな境地の開拓を計った。彼の個性が滲み出ていたが、確固たる信念に基づいているため、説得力がある。
 
 シベリウスサロネンと同郷の作曲家であるが、サロネンの指揮からいわゆる「お国物」としての懐かしい味わいは感じられない。交響曲からも、アンコールピースからも、シベリウスから聞こえてくるのは「フィンランド」ではなくてあくまでも「サロネンの美学」。それはそれで実に粋であった。