クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2021/11/20 山響

2021年11月20日  山形交響楽団   山形テルサホール
指揮  阪哲朗
辻彩奈(ヴァイオリン)
芥川也寸志  弦楽のための三楽章「トリプティーク」
シベリウス  ヴァイオリン協奏曲
ブラームス  交響曲第4番


若くして渡欧し、ドイツ各地の中堅歌劇場の専属指揮者や首席指揮者を渡り歩き、オペラ指揮者として鍛え上げられた阪さん。
実は私も、現地(ドイツ)で彼が振るオペラを観るつもりで計画を立てたことが、2度ある。
一つは、ベルリン・コーミッシェオーパー。演目はR・シュトラウスの「ナクソス島のアリアドネ」だった。もう一つは、レーゲンスブルク市立劇場で、ヴェルディの「シモン・ボッカネグラ」(だったかな?)。
いずれも予定を変更してしまい、鑑賞が叶わなかった。特にコーミッシェは、チケットまで手に入れていたのに旅行そのものが中止になってしまい、残念だった。
 
もっとも、コーミッシェのチケットを買った当時、私は阪哲朗という指揮者を知らなかった。大好きなシュトラウスのオペラをやっているので観ようとしたら、たまたま阪さんだっただけ。
もっと言うと、事前リサーチでコンダクター「BAN」とあり、「ベトナム系の人??」と思ったというオチ付きである。
 
日本国内での公演でも、私が聴いているのは新国立劇場の「ホフマン物語」や二期会の「イェヌーファ」など、オペラが多い。今回16年ぶりに彼のタクトによる演奏を聴く。
 
いやはや、めっちゃ全身使って振る指揮者である。その身振りは本人は大真面目なんだろうけど、何だかユーモラス。音出しのキューサインも、拍子取りも、表現の引き出しも、ぜーんぶやるので、とても忙しそう。
まあそれが指揮者の仕事なわけだから、当然といえば当然かもしれないが。
それに、そういうのも含めて、個性であり、確立された独自の指揮法というわけだ。
 
おかげで、音楽は丹精込めて作られ、指揮者が「こうしたい」という内容がすべて表出されるので、目にも耳にも非常に分かりやすい。相当に練り上げる感じだが、こういうタイプの指揮者こそ、中堅どころのオーケストラにとって、うってつけなのかもしれない。そう思った。


さて、この日のハイライトは、間違いなくコンチェルトであった。
若き女流奏者、辻彩奈さん。その目覚ましい活躍ぶりで注目のヴァイオリニストだが、私は今回初めて聴いた。
シベリウスの作品を完全に掌握しているし、演奏も完ぺき。2016年モントリオール国際音楽コンクールで第1位を獲得した時にファイナルで演奏した曲とのことで、なるほど納得。
音の粒が大きく、楽器が本当によく鳴る。堂々とした演奏スタイルも、いかにもソリストっぽく、かっこいい。うーん、素晴らしい。
良いもの聴かせていただきました。わざわざ山形まで来た甲斐がありました。


会場の山形テルサホールは、800席ほどの中規模コンサートホールで、同じく中規模オーケストラである山響の本拠地としては、ちょうどいい感じ。音響は悪くはないが、音が客席にストレートに届くので、丁寧に演奏しないとやや耳障りになる印象。

それにしても、しかし・・・。
市立のテルサホールのすぐ真隣りに、同じくクラシック公演も可能な県立のやまぎん県民ホールが並んで建っているのは、それっていかがなものか。何だかいかにも二重行政による無駄な箱物建設のような気がしないでもないが・・・。