クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2015/3/8 フィルハーモニア管

指揮  エサ・ペッカ・サロネン
ヒラリー・ハーン(ヴァイオリン)
ブラームス  ヴァイオリン協奏曲
 
 
 本当はメインがシベ5の日の公演に行きたかった。残念なことに都合がつかず断念した。その次に行きたかったのはメインが火の鳥の公演だった。これも都合が悪くて諦めた。
 この日の横浜公演を選んだのは「やむをえず」だ。しかもチケットを買った後になって気が付いた。「おいおい、そう言えば前回のこのコンビの来日公演もシベ2だったよな。なんだよ、失敗したなあ。」
 そんなわけで、イマイチ気分的に盛り上がらない公演だった。
 
 そんなモヤモヤ感は、一曲目のフィンランディアで一瞬にして吹っ飛ぶ。なんという壮烈な演奏!
 メインの交響曲も同じ。猛々しく、勇ましく、鋭い光を放ったシベリウス。タクトを振るうサロネンは、あたかも勇者が闘志を掻き立てるかのように力強く、激しく、そして凛々しい。
 
 思い出した。そう、前回聴いたシベ2もそうだった。
 この時のブログ感想記事に、私はこう書き記している。
「お国ものとしての懐かしい味わいは感じられない。聞こえてくるのはフィンランドではなく、サロネンの美学。」
 
 我に返ったように、頭の中でランプが灯った。
 透徹かつ峻厳なシベリウスの音楽。この音楽の原点は、私はてっきり作曲家の故郷の大自然にあると思っていた。だが、もしかするとそうではないのかもしれない。少なくとも、サロネンはそのように捉えていない。
 勇壮な音楽アプローチは、ひょっとすると、独立を希求し、尊厳を死守しようとする同郷民族の誇りと叫びを表しているのではないだろうか。
 
 シベ5は果たしてどういう演奏だったのだろう? うーん気になる。やっぱり無理をしてでも行くべきだった。両方聴けば、サロネンが思い描くシベリウス像の確たるものを掴むことができたかもしれない。
 
 
 コンチェルトを弾いたヒラリー・ハーンブラームス。あまりの完璧な演奏に言葉なし。もはや「上手い」を越えて、孤高の名人芸の域に達しようとしている。
 彼女はこれからどの方向に向かっていくのだろう?このまま円熟期に入っていくのか、それとも更に殻を突き破って強烈な個性とオーラを発していくのか。行方を見守っていきたい。