クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

1995/5/24 ナポリ 3

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 ナポリ三日目。晴れ。
 本日午前の観光では、Kくんと意見が分かれた。
 Kくんは国立考古学博物館に行きたいと主張。一方、私はカポディモンテ美術館に行きたいと主張。

 カポディモンテ美術館は、ナポリにあるイタリア屈指の国立美術館だ。G・ベッリーニの「キリストの変容」の所蔵などで有名で、ナポリに行くと決まったときからこの美術館を訪れるのを楽しみにしていた。なので、ここは譲れまへん。

 「それならば」と、あっさり別行動が決まった。いったん別れ、お昼にホテルで合流し、その後再び一緒にポンペイへ行くことを約束。

 この美術館はナポリの北に位置し、やや遠くて徒歩だときつい。バスの利用が良いだろう。ということで、まずバスが出るナポリ中央駅に行ったはいいが・・・バス停が分からない。特定の停留所などなく、駅前ターミナルのいろいろなところからバスが発着している。しかも、行き先表示など無し。どれに乗ったらいいか皆目見当も付かない。いやはや、さ・す・が・ナポリ

 道行く人何人かに尋ねてみたが、まるっきりらちがあかない。このため、やむを得ずタクシーを拾うことにした。

 そのタクシー乗り場だって・・・普通はちゃんと列を作って順番にお客さんを待つでしょ?しかしね、ここはナポリです。
 タクシー乗り場に立った瞬間、5、6人の運ちゃんに「俺の車に乗れ!」「いや、こっちに来い!」と手招きされ、引っ張られる。壮絶なお客獲得競争。力の強い者勝ち、ずうずうしい者勝ち。

 あたかも連れ込まれるように車内に入ると、運ちゃんは行き先を告げる前からズバッと車を走らせ出発。まるでその場から逃げるように(笑)。

 そして私は気付いた。このタクシーには料金メーターが付いていない・・・やられた!

 ということは料金は言い値だ。法外に要求されかねない。「頼む~。降ろして~!」と叫ぶ。あ、心の中で、ね。だが、そんなことを実際に口に出したら余計トラブルになりそうで怖い。やがて腹をくくる。もういいや、なるようになれ、と。

 カポディモンテ美術館に到着。
 運ちゃんから口頭で料金を言われたが、イタリア語はちんぷんかんぷん。紙に書いてもらった請求額は2万8千リラ。約2,000円。普通か?本当はもっと安いかもしれないが、少なくともボッタくられなくて内心ホッとした。

 こうしてようやく憧れの美術館に辿り着いたというのに・・・「本日休館」

「・・・。」

もちろんガイドブックに案内されている定休日ではない。
「む、むむ、む・・。」
おもわず拳を握りしめたが、「冷静になれ」と自分に言い聞かせる。ここはナポリなのだ。嗚呼ナポリ

 しばし呆然と立ちつくした後、一応記念にと建物の写真を撮り、しようがないので市街に戻る。帰りの交通手段は簡単に見つかった。なんたって、バス停は一つだから。


 まっすぐKくんがいるはずの国立考古学博物館へ。
 ここも世界的に有名な博物館で、ギリシャ・ローマの大理石彫刻のほか、ポンペイ遺跡などから出土したモザイク芸術品、その他貴重な遺産がずらりと陳列されている。
 館内は非常に広いため、果たしてKくんを見つけだすことが出来るか不安だったが、いとも簡単に彼を発見。てっきり館内をくまなく歩き回っていたと思ったら、「いやあ、中庭に出たら、日差しが暖かくて気持ちよかったんで、そこで昼寝してた。」だって。なんだそりゃ。

 有名な「アレクサンダー大王の戦い」を発見。世界史の教科書に必ず載っている、誰もが知っているモザイクだ。
 それ以外にも見所満載。最初からKくんと一緒にここに来てもよかったよな。そうすりゃタクシー代も無駄にせずに済んだのに・・・ガク。


※ 数年後、私は敗者復活戦で、ちゃんとタクシーではなくバスで、カポディモンテ美術館に行き、美術鑑賞を成し遂げました。めでたしめでたし。