クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2023/5/27 エロディアード

2023年5月27日  ライン・ドイツ・オペラ(デュッセルドルフ
マスネ  エロディアード
指揮  セバスティエン・ルーラン
演出  ロレンツォ・フィオローニ
セバスティエン・グース(ジャン)、ボグダン・バチウ(エロデ)、ルーク・ストーカー(ファニュエル)、ホルヘ・エスピーノ(ヴィテリウス)、ヴァレンティン・ルッケビーア(大祭司)、ルイーザ・ファティオル(サロメ)、ラモーナ・ザハリア(エロディアード)


今回の旅行におけるライン・ドイツ・オペラでの鑑賞2回目。最初に観た「死の都」と同じく、本演目も同劇場の今シーズン新制作。そしてこの日は、チクルスの初日プレミエ。
これがウィーンとかミュンヘンとかだと、初日というのは特別公演ということで着飾ってくるお客さんが多いが、ここデュッセルドルフではほとんどの人が普通の格好か、もしくはセミ・フォーマル。特別公演の趣はまったく無し。空席も結構有り。ま、ローカルなんだし、そんなところか。

なかなか上演されないマスネのこの作品は、4年前に二期会セミ・ステージ形式として上演を行った。本格的舞台上演を鑑賞するのは、私自身これが初めてだ。


開演前、劇場支配人がマイクを持って登場。何やら説明を行った。
ドイツ語オンリーのため完全に理解不能だが、こういう時に何を言っているかは、ほぼ察しが付く。出演者のドタキャン変更、あるいは「不調だけど頑張ります」みたいな言い訳アナウンス、大抵どちらかである。

幕が開き、しばらくしてサロメが登場した瞬間、説明された内容が判明した。
舞台上でサロメ役として登場しているのは歌わない役者。歌手ルイーザ・ファティオルは、舞台袖に立っている。左手を怪我している模様で、包帯を巻いて肩に吊っており、演技不能で歌唱のみを担当。

なるほど、そういうことか・・。
リハーサル中に事故に遭ったのだろうか。ファティオルは袖からの歌唱であっても、楽譜を置かず、完全暗譜だったことから、本来であればそのまま舞台に立つはずだったことは明白だ。
生の舞台を造る劇場というのは、本当に何が起こるか分からない大変な世界、というわけである。


演出は現代的な読替え。時代や場所の設定を完全に変えちゃっている。
アフリカ大陸におけるフランスの植民地政策の時代が舞台。場所はパリと、モロッコあたりであろうか。
フランス人が砂漠の大陸に進出し、我が物顔で遺跡を盗掘し、持ち去っていく。貴族の女たちが移住してきて、現地の人々を奴隷として雇いながら、好き放題の生活を送る。
砂漠の中の預言者として活動していたジャン(ヨハネ)は、征服者たちにパリに連れ去られ、興行の見世物として舞台に引き出される。抵抗したジャンは、死刑を宣告されてしまう・・・。

大雑把に言うと、大体こんなストーリー。(たぶん。そのように私には見えた。)
ただし、歴史上の植民地政策の功罪を問うシリアスさは抑えられ、映像も駆使しながらコミカルタッチで物語を進行させていて、結構面白かった。


指揮者や出演歌手たちの感想を含む音楽面での評価については、あまり多くを語れない。
特に休憩を挟んだ後半において、疲れてきちゃってウトウト、そしてボーッとしながらの鑑賞。

あーあ、またやっちまったよ・・。

原因はハッキリしている。
言うまでもなく、サッカー観戦とのダブルヘッダーを敢行したからだ。
いつもなら観光を早めに切り上げ、ホテルに戻って仮眠を取り、シャワーを浴びるなどして、夜のオペラに備えて体調を整えるが、この日はスタジアムから劇場に直行したからな。
ある意味、ダブルヘッダーを決めた時点で、こうなることは想定されたこと。最初から分かっていたんだ。で、結局そうなっちゃったというわけ。案の定なので、諦めが付いた。

ただ、デュッセルドルフでオペラを2回観ながら、その二つとも眠気を催してしまい、集中できなかったというのは、些か悔いが残る。ライン・ドイツ・オペラという劇場、それからデュッセルドルフという街に、申し訳ない気持ちになった。

終演後、居酒屋にてご当地ビール:アルトビアをガブ飲みし、ほろ苦さを味わいながら大いに反省。

もっとも居酒屋を出る頃には、酔っ払ってすっかり気分爽快になってしまったが(笑)。