クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2023/4/7 アラベッラ

2023年4月7日   ザクセン州立歌劇場(ゼンパー・オーパー)
R・シュトラウス  アラベッラ
指揮  ダーヴィト・アフカム
演出  フロレンティーヌ・クレッパー
ジャックリン・ワーグナー(アラベッラ)、ニコラ・ヒッレブラント(ズデンカ)、ボー・スコウフス(マンドリカ)、パヴォル・ブレスリク(マッテオ)、ダニエラ・ファリー(フィアーカーミリ)、クルト・リドル(ヴァルトナー)、クリスタ・マイヤー(アデライーデ)、ペトラ・ラング(カード占い師)   他


前回の「ばらの騎士」もそうだったが、シュトラウス・ターゲに集結した歌手の面々が、実力者ばかり。超が付くビッグネームはいないかもしれないが、オペラをよく観る人なら、キャストのラインナップを眺めて、思わず「手堅い」と唸ることだろう。
第一幕冒頭のわずか数分にしか登場しないカード占い師役でペトラ・ラングが出ているって、すごくない?

適材をきっちり揃えたということもあるだろうし、そもそもこうした歌手をがっちり並べられるのがゼンパー・オーパーの格なのだ。ティーレマンのキャンセルは残念だったが、私はこの充実の歌手陣に救われた。

すっかりベテランの雰囲気を漂わせるようになったスコウフスもリドルも、まだまだ健在で実に味わい深い。それにしてもリドルがまだ現役で歌っていたとは! もう結構いい年だよな。
ブレスリクは、若い頃はただの兄ちゃんだったが、今やガッチリと根が張った印象だ。

タイトルロールのワーグナーは、アメリカの歌手。当初はハンナ・エリザベス・ミュラーが歌う予定だったが、変更での代役出演。しかし、この役は他の劇場でも既に歌っているとのことで、堂々とした安定の歌唱。容姿も美しく、まさにアラベッラ。彼女の持ち役の十八番ではなかろうか。

そしてそして・・・前回のばらで見つけちゃいました新生ヒッレブラント、ズデンカで再登場。いやー、いいっすねー(笑)。
カーテンコールでも、出演者の中で一、二を争うくらいの拍手を貰っていた。
もっとも、ズデンカという役がいい役なんだよな。観客の心を掴んでしまう、おいしい役。


指揮のアフカム。
日本では2018年にN響と共演、また、2019年の東京・春・音楽祭でコンサート形式上演「さまよえるオランダ人」を披露した。昨年、スペイン国立管弦楽団の首席指揮者として来日公演を行う予定だったが、これはコロナで中止。
本公演の演奏におけるアフカムのタクトについて何か気の利いたコメントを書きたいが、正直あまりインパクトを受けなかった。無難な操縦という印象。


演出についても同様で、それほど特筆すべきものはない。大きな読替えもなく、どちらかと言えばオーソドックスだ。

第一幕のホテル室内の場面で、複数の部屋の装置を作り、それを舞台上で横滑りさせながら見せていくという手法はなかなか面白かった。これによって、その場に登場しない出演役の、隣の部屋で演技する裏側の姿が見られるというもの。
その中で、ズデンカが一人部屋の中で上着を脱ぎ、下着姿の自分を鏡に映し出しながら、男装ではなく、ありのままの女性の姿を見つめて苦悶する、というシーンは印象的だった。