クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

新国立「アルマゲドンの夢」を観にいく

私は、「新作オペラ」とか「ワールド・プレミエ」とかにほとんど興味がない。
だから、これまでそういう公演に、まず行ったことがない。

理由はいくつかある。
第一に、新作ということは、つまり現代作曲家の作品なので、要するに現代音楽だから、それが嫌いな私の興味の対象に入ってこない。
次に、「初めて聴く」、しかも「たった一回」というのでは、その音楽をしっかり捉えることが当然出来ないし、深く味わうことも出来ない。かといって予習ができるわけでもなく、結果「ふわ~ん」とした曖昧な印象しか残らない。
さらに、こうして生まれた作品のほとんどが再演されず、録音もされず、レパートリーになっていかないので、もう一度聴いてみたいと思っても、その願いは叶わない。
どうせクラシック音楽の系譜に残ることもなく、年月とともに忘れ去れていく「一発」作品なんだから、「聴いたってしょーがねえ」みたいな気持ちがある。


そんなわけだから、新国立の芸術監督に就任した大野さんが「新作を毎年出していく」なんていう方針を打ち出した時は、マジで「アホちゃうか!?」とツッコミを入れたくなった。「そんな無駄なことにお金や手間ひまをかける前に、もっと既存のレパートリーを拡充しろよ」、「聴衆の需要はそこじゃねえだろ?」というツッコミである。

以上のように思っているクラシックファンの人、私だけでなく、結構いるんじゃなかろうか。


さて、そんな私であるが、このたび新国立の新作、藤倉大氏作曲の「アルマゲドンの夢」に行ってみることにした。(21日(土))
チケットは念のため一番安いカテゴリーで(笑)。

なんでまた自分のポリシーに合わないのに行くことにしたのか??

一つには、コロナ渦の影響とその制限により上演そのものに危機が迫った中、幾多の困難を乗り越えて製作を成し遂げたというのに、ちょっと興味が湧いた。
なんと言っても、演出家、主要外国人キャストが二週間隔離を受け入れて来日したのだ。これはなかなか驚き。演出家リディア・シュタイアーなんか、今まさに旬の演出家ではないか。
そんなキャスト陣が本腰を据え、少々オーバーに言えば芸術家生命を賭して臨んだわけで、その心意気は見つめたい気がするし、そうまでして世に打ち出そうとしたプレミエ作品がいったいどんな物なのか、確かめたい気がする。

次に、「現代の私たちに訴え、世に問う意欲作」という刺激的な宣伝文句にまんまと引っ掛かってしまった。
例えば本を読んだり映画を観た時、「作品を通じて何か感じる物があり、心に訴えてくる物を受け止め、自分なりに考えてみる」みたいなそういう体験が出来るのなら、それだけでも「お金を払った価値があった」と思えるかもしれない。

藤倉さんの音楽は、現代音楽にありがちな単なる不協和音の響きの羅列に陥ることはないという噂なので、そのことについては、多少の期待をしている。
それでも、上に書いたとおり一回聴いただけでは「ふわ~ん」という印象しか残らないだろう。

まあ今回はそれでもいいと思って、とりあえず行ってみますわ。