クラシック、オペラの粋を極める!

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2020/11/13 東京シティ・フィル

2020年11月13日   東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団   東京オペラシティコンサートホール
指揮  高関健
半田美和子(ソプラノ)
マーラー   交響曲第10番より アダージョ
ベルク  ワイン(演奏会用アリア)
ベートーヴェン  交響曲第2番


やい、東京交響楽団
シティ・フィル様はな。この日の二曲目のプログラムを、当初予定のベルク:歌劇「ヴォツェック」3つの断章から上記の「ワイン」に変更した、たったそれだけで希望者に対してキャンセル払い戻しに応じたんだぞ!
例えメインプロでなくても、その曲を聴きたいと思ってチケットを買い、楽しみにしていた人たちに対し、お詫びの気持ちを込めて、極めて真摯かつ誠実な対応を取ったんだ。
プログラムの変更というのは、それくらい重いのだ。
ましてや、指揮者とメインプロの両方の変更ということが、どれだけ重大なことか。
にもかかわらずキャンセルを受け付けないということが、どれだけ不誠実なことか。
おい、聞いてるか? 東京交響楽団

と言いつつ、シティ・フィル事務局担当者は、内心「まあヴォツェックからワインに変えたくらいなら、そんなに苦情は出てこないだろう、キャンセルを申し出る人は多くないだろう」みたいなしたたかな計算は、もしかしたらあったかもしれんがな・・・。

何を隠そう、私自身はヴォツェックを楽しみにしていたので、この変更は残念だった。
だが、「ワイン」という作品は知らなかったが、アルバン・ベルクの作風は十分に味わうことが出来て、結果的にはオーライ。良かった。
もちろん、半田さんの歌唱が素晴らしかったというのも大きかった。


さて、プログラムの一部変更があったにせよ、マーラー、ベルク、ベートーヴェンという選曲とその並べ方は、「うーーん、お見事、さすが!」と唸らずにはいられない。
作品の出来上がった順番やオケの編成規模を考えれば、ベートーヴェンからスタートしてマーラーをメインにしてもいいのに、あえて逆に置く。
しかも、だ。
メインがベト2だよ、ベト2。
渋ぃーぜ。渋ぃー。

高関さんはこういうの、本当に熟考し、練って導き出したって感じだね。さすがだね。

それにしても、未完の10番の断片(アダージョ)のみとは言え、よくぞまあマーラーにこぎつけた。感慨深い・・。

コロナが蔓延し、「密」を避けるため、たくさんの奏者がステージに乗る大規模作品をプログラムに据えた演奏会が次々と消滅。マーラーなんか、「密」状態を発生させる最悪の作曲家の代表みたいなもんだったからな。

高関さんが描くマーラーは、スコアの解析具合が実にクリアで、響きのバランスも良い。それをちゃんと作っている感じがしっかり伝わる。
ただ、シティ・フィル奏者たちの音取りが全体的に手探り的だったのが不満。なんだか不慣れというか、自信なさげに聞こえてしまう。
原因は何? 作品の困難性? 練習不足? それとも演奏技術レベルの問題?(プロの方々に対して言いたくないことだが)

その点、メインのベートーヴェンは、快適で溌剌、キレのある演奏だったし、フィナーレに向かって高揚させていく構築の仕上げ方はお見事だった。

そうなると、マーラー、ベルク、ベートーヴェンという順番は、やっぱり正解だったということだね。