クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

ACL準決勝 浦和レッズ対全北現代


2022年8月25日  AFCアジア・チャンピオンズリーグ 準決勝
浦和レッドダイヤモンズ全北現代モータース   埼玉スタジアム2002


死闘、激闘だった。こういう手に汗握る試合を観るのは久しぶりだ。

同点で迎えた90分、このまま延長に突入かと思われた時、浦和が決定機を掴み、そして外した。FWユンカーのシュートがポストを叩いたのだ。

嫌な予感がした。

サッカーというのは往々にして、決定機を逃した時、決めるべきところを決められなかった時、後になって罰を受ける。
だから、延長後半11分、全北に逆転ゴールを許した時、「ほれ、みたことか」と思った。決めるべきところで決めておかないからこういうことになる。サッカーってそういうものなのだ。
私は負けを覚悟し、非常に腹立たしい気分に陥った。

だが、私のような不届き者は、ごく一部だったのかもしれない。もうあと残り4分しかないのに、選手は誰一人諦めていなかった。たぶん、必死に応援しているサポーター連中も同じ気持ちだったのだろう。
終了直前のアディショナルタイムで同点に追い付いた時、スタジアムは騒然となり、揺れた。私はただただ呆気にとられ、そして負けを覚悟した自分を恥じた。

PK戦。ゴールの真裏にフラッグを持ったサポどもが集結。相手キッカーに対して壮絶なブーイングを送り、フラッグを振って、集中力を妨害。
この時、キッカー対キーパーの1対1の対決ではなかった。キッカー対キーパー&サポの1対2。ゴール裏のサポはまさしく戦っていた。

この光景、見覚えがある。
2007年ACL準決勝。浦和レッズ対城南一和(韓国)@埼玉スタジアム。2対2からのPK戦。
驚いた。まったく同じシチュエーションじゃんか。
そしてレッズの勝利。

あとから知ったことだが、全北現代の監督はこの時の城南一和の選手として出場し、PKも蹴ったのだとか。間違いなく15年前がよぎったことだろう。


現在Jリーグでは、観客の声出し応援について、テスト導入し、段階を経ながら少しずつ解禁に向かおうとしているが、このACL戦でも一部解禁し、ゴール裏での声出し応援が許可されていた。

久しぶりに聞く、レッズサポの大音声。
そう、これだ。これがサッカーには必要なのだ。これこそあるべき姿なのだ。

声出し応援が許されていたのはゴール裏だけで、それ以外の指定席エリアは本当は不可だったが、にも関わらず、みんな所構わず、私が観ていた指定席エリアでも、堂々と歓喜の雄叫びを上げていた。

なんだかすごく嬉しかった。

2022/8/22 草津国際アカデミー&フェスティバル(A・キルヒシュラーガー リサイタル)

2022年8月22日  草津夏期国際音楽アカデミー&フェスティバル
アンゲリカ・キルヒシュラーガー メゾ・ソプラノリサイタル  草津音楽の森国際コンサートホール
クリストファー・ヒンターフーバー(ピアノ)
シューベルトブラームスシューマン、R・シュトラウスマーラーの歌曲集より


今年で42回目を迎えるという日本の音楽祭の老舗、草津アカデミー&フェスティバル。
私がこのフェスティバルを訪れたのはこれで2回目。
だが、最初は20年くらい前、温泉目的で家族で訪れたところ、たまたまやっていたので「じゃ、聴いたろ」みたいな感じで当日券を買った、ただそれだけだった。室内楽だったが、プログラムは何だったのか、出演者は誰だったのか、全然覚えていない。アーカイブを探せば調べられると思うが、別に調べたいとも思わない。

一方で、かつてこのフェスティバルに行くべきか、真剣に検討したこともある。
それは、ドイツのソプラノ、ヒルデガルト・ベーレンスが来日し出演した時であった。

私が生涯で最も敬愛する歌手、ベーレンス。であるが故に、躊躇した。行く決断が出来なかった。
既に第一線の舞台からは事実上退いていた彼女。そんな彼女の歌声に少しでも衰えを感じ、万が一にもがっかりしてしまうなどということはないか。これがこの上なく怖かった。それだけは絶対に嫌だったのだ。
まさか、そこで病に倒れ、日本で亡くなるなんて・・・。
あの時、やっぱり聴いておくべきだったのだろうか・・・。


そういうことで、私にとって実質的に初めてと言っていい草津フェスティバル。
キルヒシュラーガーをお招きしたとは、やるじゃないですか。平日だけど、お休み取って、温泉兼ねて、行くとしましょうか。

少し前、2000年代。彼女はウィーンの花だった。国立歌劇場に欠かせない重要な歌手として、飛ぶ鳥を落としていた。
私と同世代。今、ベテランの域に入っているが、第一線から遠のくのはまだ早い。今回は、そんな円熟した彼女の現在の立ち位置を知る良い機会と言ってよさそうだ。
ちなみに、フェスティバル事務局によると、日本でのリサイタルは初めてだそうである。

プログラムを見渡す。ドイツ系作曲家の作品で占められている。
さすが。やっぱりそうきたか。

2か月前、同じメゾのガランチャが来た時、彼女が用意したプログラムはドイツ物、フランス物、ロシア物、スペイン物と多彩だった。
これに対し、キルヒシュラーガーは、シューベルトからマーラーまでの系譜を辿り、ドイツというカテゴリーの中でそれぞれの作曲家の魅力を浮き彫りにさせるアプローチである。

歌唱上で際立っているのが、歌詞の発音だ。ドイツ語の響きが美しい。「ドイツ語を母語としているから当たり前」と単純に片付けることが出来ない奥深さ。旋律に乗って、ドイツ語がキラキラと輝いている。
よく歌唱において「イタリア語が最適」と評されるが、「ドイツ語こそ歌に適しているのでは」と、思わず納得してしまうほど完成された発音の響き。その魅力をキルヒシュラーガーが聴衆にしかと伝えていた。


最後に、演奏とは別のところでイライラしたことを。
私の二つ隣りの席の男性が、しきりに演奏に合わせて両手を動かしていた。
さすがに振り回すほどではないものの、クラシックのコンサート会場ではちょっとした動きでも、それが視界に入ると、邪魔で集中を削がれるものである。

こういう目障りなことをやろうとする連中の気が知れないと言いたいところだが、いや、分かる。お見通しだ。「心が動いて、つい自然に手も動いてしまう」なんてのは大ウソ。
「オレは作品もよく知ってるし、演奏家の音楽も手に取るように理解できる」みたいな周囲へのマウント、ひけらかしだ。
こういうヤツ、時々いるが、本当にうぜー。
(5列目の中央付近にいたアンタ。アンタのことだよ。)

2022/8/22 草津

天下の名湯、日本三大温泉地の一つ、草津
今年に入って3度目の温泉巡り。
もちろん目的は音楽祭だけどね。

会場入りの前に、西の河原公園を散策。

園内には源泉が湧いていて、湯けむりが立ち、流れている小川の水に手を入れてみると温かい。

その園内に有料の露天風呂施設あり。思わず入ってしまった。


別に宿泊ホテルで温泉にたっぷり浸かることができるのに、どうして人はそんなに露天風呂が好きなのか。

2022/8/19 パシフィックフィルハーモニア東京

2022年8月19日  パシフィックフィルハーモニア東京(東京オペラシティ特別演奏会)  東京オペラシティコンサートホール
指揮  飯森範親
合唱  パシフィックフィルハーモニア東京クワイ
中井貴恵(語り)、高木凛々子(ヴァイオリン)、森麻季(ソプラノ)、金子美香(メゾ・ソプラノ)
メンデルスゾーン  ヴァイオリン協奏曲、劇付随音楽「真夏の夜の夢


メンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」を初めて生で聴いた。
ということはつまり・・・
誰もが知っているあの結婚行進曲を、初めて生で聴いたということ。
すげー。おめでとー。パチパチパチ。
パパパパーン。パパパパーン。パパパパー、パパパパー、パパパパー、パパパパー、パパパ
ジャーンジャーン、ジャ、ジャーラーララ・・・

あまりにも有名な曲だが、ある程度クラシックを知っている人じゃないと、これがメンデルスゾーンの作品だということは分からない。
で、ある程度クラシックを知っている人でも、ちゃんとした劇付随音楽としての全曲を聴いたことがある人は、多分少ない。

コンサートに採り上げられることが少ないのは、そこに合唱やソリストが必要だからであり、さらに劇付随音楽としてやりたいのなら、そこにナレーターが必要だからだろう。
そういう意味で、この日の公演は私にとっても貴重な機会だったわけだ。まさにその名のとおり「真夏の夜の夢」。

私の場合、「なかなか聴く機会がない名作品をやるコンサート」というのに、実に弱い。
「ほほう、それ、やりますか。じゃぁ行かなくては・・。」ってな感じ。
たとえ、普段ほとんど足を向けないオーケストラであっても。
指揮者だって、別に誰でもいい。

その「誰でもよかった」指揮者飯森さんだが、前回この人が振ったのを私が聴いた公演というのは、なんと、新国立劇場が上演したブリテンの「真夏の夜の夢」。つまり、2回続けて「真夏の夜の夢」。
なんじゃそりゃ(笑)。

まあそれはいいとして、本公演を聴いた私の感想としては、「なかなか聴く機会がない名作品を聴けてよかった」である。

はっきり言う。それほど感動しなかった。
演奏もフツー。作品もフツー。
なんだかなー。

中井貴恵さんの語りは良かったと思うが、音楽を聴きに行って「語りが良かった」じゃあ、しょーもねえわな。

よかよか。上記のとおり、なかなか聴く機会がない名作品を聴けてよかったわけである。それで十分なのだ。


ちなみに本公演では、特別ゲストコンマスとして、ゲヴァントハウス管からヘンリック・ホッホシルト氏を迎えていた。
「ゲヴァントハウス管のコンサートマスター」と発表されていたが、正式には「アソシエイト」、つまり副コンサートマスターである。
ゲヴァントハウス管のコンサートマスターと言えば、それはもう誰が何と言おうと「踊るコンサートマスターセバスティアン・ブロイニンガー。
彼がお呼ばれされていたら、私も飛び上がって喜んだのだが・・・。
ま、そこはパシフィックフィルハーモニアだし・・。

マイナンバーカード

それを保有するメリットが何なのか、オレにはさっぱり分からんマイナンバーカード。
「公的証明書がコンビニで取れます」とか、そんなのメリットでも何でもない。身分証だって免許証で十分。要するに、メリットは我々ではなく国や行政の側にある、ということはもはや明白。
結局お前ら、国民の情報を管理統制したいんだろ? 違うか?
そんなのいらんいらん!

・・・とずっと思っていたが、さすがに「最大2万ポイント付与!」キャンペーンには目が眩んだ。
「タダで2万円貰えるんだったら、そりゃ貰わな損だわなぁ・・」と思わず呟いた小市民のオレ。
申請してしまいました。くそー情けねえ。

出来上がったカードを受け取るために役所の窓口に行くと、そこはマイナポイントの手続き申請、つまり2万円欲しさに群がった大量のジジババどもが絶賛順番待機中。
コイツらどうせ自分の番が回ってきたら、「やり方教えてください」なんて言いながら、その実は「面倒な手続きは全部人にやってもらお」という完全お任せパターンの魂胆連中なわけだ。

あーイヤだ。こういうジジイにはなりたくね。

手続きはスマホで出来る。やり方はググればいくらでも出てくる。
私は順番待ちの連中を尻目に、早々に帰宅した。


自宅でさっそくスマホ手続きをやろうとしたら、いきなり躓いた。必要なアプリのダウンロードが出来ないのだ。
調べてみると、どうやら自分のスマホは、アプリの対応機種ではないらしい。
なにぃ??

PCで手続きする場合は、カードリーダーが必要らしく、これもダメ。
そうすると、あとは例えばセブンやローソンに設置されている機械などでも可能だが、これもよーく調べると、一部対応不可の手続きがあったり、対象外のポイント決済サービス事業があったりと、注意すべき事項があることがわかった。

どこで何が出来るのか、こうしたことをじっくり調べているうちに、時間はどんどんと過ぎる。自分の貴重な時間が消費されていく。

おいおい何だよ。これだったら、役所でジジババと一緒に並んで手続きするのと、ほとんど変わりがないじゃんかよ。

なんだかすっげー、ムカついた。

新型コロナウィルスの影響11

第7波の勢いが収まらず、高止まり状態となっている。毎日のように20万人以上の新規感染者数が報じられている。これ、世界1位だってさ。
20万ということは10日で200万ということか。なかなか凄まじいものがある。

ということで、例のごとく専門家がしきりに警鐘を鳴らしている。
「人流を減らし、会話控えめに、マスク着用し、手洗い消毒など、基本的な感染対策の徹底を」

何言ってんだよ・・。
もうアホくさくて、笑わずにはいられない。

じゃあ聞くが、これまでの波が収まった原因は、基本的な感染対策が徹底されたからなのか?
今回の波が発生したのは、基本的な感染対策が緩んだからなのか?
あれだけ「ワクチンだ、ワクチンだ」と無理やり打たせて、このザマか?

世界では、多くの国でwithコロナに転換。今、欧米では誰もマスクしていないし、スタジアムではみんな大声で声援を送っているし、観光客を制限なく受け入れている。すっかりコロナ以前に戻っているのだ。
で、感染状況は小康状態。(収まってはいないものの、爆発はしていない。)

翻ってニッポン。
コロナになってからずっとマスクを着用して、今も着用普及率は90%以上。こまめに手洗いなどの消毒も実行している。
スタジアムでの声援は禁止され(段階的に緩和のための実証実験を行っているようだが)、手拍子だけで応援することを律儀に守る。(一部守らないサポがいる某赤さんチームを除く)
クラシックコンサート会場でも「ブラヴォーなどの掛け声はお控えください」「分散退場にご協力ください」みたいなくだらないルールに黙々と従う。

みんな真面目にやってるんだよ、感染対策を。

で、その結果が感染者数世界1位・・。

なんかさー、根本的に違うんじゃねーの??
思わず勘ぐってしまう。

しかも、相変わらず厳しい入国制限。
外国人観光客はツアーオンリー。すべての入国者(日本人含む)に対し、直前の陰性結果証明を求めている。
いやいや、日本国内の状況の方がよっぽど悪いじゃんか。その制限、何の効果があるわけ?
単なる国内向け「やってます」アピールだとしたら、くだらんとしか言いようがない。

専門家は、科学的データとエビデンスに基づく因果関係、原因、効果を検証し、その結果を示せって。
オレでも言えるような代わり映えしない注意喚起してもしょーがねーだろ。

2022/8/7 東京フィル(フェスタサマーミューザ)

2022年8月7日   東京フィルハーモニー交響楽団(フェスタサマーミューザ)  ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮  ダン・エッティンガー
服部百音(ヴァイオリン)
ロッシーニ  セヴィリアの理髪師序曲
メンデルスゾーン  ヴァイオリン協奏曲
リムスキー・コルサコフ  シェヘラザード


桂冠指揮者という名誉ある称号を貰っているというのに、いまいち存在感がピンと来ないエッティンガー。
それもそのはず、東京フィルの指揮者といえば、チョン・ミョンフン、バッティストーニ、プレトニョフの3人で回しているイメージ。なんだか外れちゃってる感じがビミョーに寂しいエッティンガー(笑)。
本人も薄々気が付いているらしく、「ヤバい」と思ったかどうかは知らないが、今回のオファーは「絶対に受けよう」と思ったんだってさ。

ということで、3年ぶりの来日。

御本人によると(プレトークでのお話)、ちょうど今、自らが音楽監督を務めるイスラエル・オペラで「椿姫」の一連の公演を振っている真っ最中だったが、そこを抜け出し、東京に駆け付けたんだと。このサマーミューザが終わったら、直ちにとんぼ返りでイスラエルに戻り、椿姫シリーズの続きを振るらしい。

お疲れ様~。


実は、東京フィルでの存在感がピンと来ない理由がもう一つあって、私から見るとエッティンガーは「オペラ指揮者」なのである。
桂冠指揮者になったということは、東京フィルでそれなりの貢献が認められたからだと思うが、私自身は何を隠そうエッティンガーが振る東京フィルのコンサートをこれまで1回しか聴いていない。数えてみたら合計10回聴いているエッティンガーの公演の残り9回は、すべてオペラなのだ。2005年から2010年くらいの間で、「ニーベルングの指環」チクルスを含め新国立劇場に度々登場していたことが記憶に残る。

元々はベルリン州立歌劇場でのバレンボイムのアシスタントとして修行を積んだエッティンガー。現在、上記のイスラエル・オペラの音楽監督を務め、ナポリサンカルロ劇場の首席指揮者に就任することも決まっている。
なので、コンサート指揮者としてピンと来ないのも仕方がないと納得。

なお、これも御本人によると、メンコン振るの今回が初めてなんだって。
ええーっ! うっそだろ!? んなことあるのか!?
やっぱり彼はオペラ指揮者なわけだ。


さて、そんなエッティンガーのコンサート。「時差ボケで寝不足」と語っていたが、眠気を吹き飛ばすかのように濃厚で豪快でドラマチックなシェヘラザードであった。

膨らませ、止め、溜め、走らせ、動かし、音楽を万華鏡のように変化させる。細部のニュアンスの整え方も上手い。
シェヘラザードは物語だ。起承転結があり、起伏があり、クライマックスがある。
情景が浮かぶ演奏。
そこらへん、やっぱりオペラ指揮者としての面目躍如という感じがした。


メンコンのソリスト、服部百音ちゃん。若いが、独特の雰囲気を持ったヴァイオリニストである。

技術的には、はっきり言っちゃうと、彼女くらい弾ける人は他にもたくさんいると思う。
ただ、繰り返すが、彼女は雰囲気を持っている。「ソリストの色気」とでも言おうか。会場の空気を一変させ、ライブならではの緊張感を生み出すパワーを備える。この不思議なパワーこそ、彼女の才能であり、魅力と言っていいのではないだろうか。