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2008/11/25 ベルリン・フィル

2008年11月25日 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 サントリーホール
指揮 サイモン・ラトル
ブラームス 交響曲第1番、交響曲第2番


 改めて言うまでもないが、ベルリンフィルはスーパー・ヴィルティオーゾ軍団だ。このオーケストラの演奏は、もちろんCDなどで音だけを聴いても良いが、生で「見る」とその凄さが際立って分かる。

 うねっているのだ!弦も管も。波打つかのように。演奏者の体の動きが、だ。体全体で音楽を表現する演奏家の集合体なのだ。

 ダメな指揮者、中途半端な指揮者だと、各トップ奏者達が勝手にソリスティックな音楽を作り出してしまい、統率不能に陥ると聞く。まるで乗りこなすのが難しい荒馬のようだ。一方で優秀な指揮者が見事に束ねると、音楽の大きな波がどーんと押し寄せる。

 ブラ1でラトルが行ったことは、フルトヴェングラーカラヤンの時代からの十八番にしてオーケストラに染みついてる伝統のブラームス奏法を各奏者に委ね、自由に泳がし、あとはひたすら音を聴いてバランスを取ることだった。お互いの信頼関係が強固であるからこそ出来る。

 そうして出来上がった音楽がラトル自身の満足のいくものであったことは、彼がタクトを振りながら終始何とも言えないうれしそうな表情をしていたことからも分かる。聴いていた私もベルリンフィルの各奏者のスーパーな演奏能力(特に木管!)を再認識できてうれしかったが、一方で、ラトルの目指したブラームスとはいったい何だったのかがよく分からなかった。

 ところが一転して、後半のブラ2では、ラトルが強烈な統率力を持ってオケを引っ張り、主張し始めた。まさしく‘ラトルの’ブラ2だった。やはりオーケストラ音楽は、指揮者がグイグイ引っ張ってこそ、より高い境地にたどり着ける。というわけで、私はこの日は2番の方が秀逸であったと感じた。まあメインだし、ね。メイン曲が盛り上がる方がコンサート的にもいいやね。

 上の方で「特に木管奏者のスーパーな演奏能力」と書いたが、楽団員を引っ張り、統率していたのは残念ながらコンマスの安永さんではなく、フルートのエマニュエル・パユだった!
 他の楽器で何が起きているのかを常に感じ、全体のバランスを気にし、合図を出し、まとめ上げていた。しかも、フルートは溜め息が出るくらい上手く、完璧。もちろん彼の実力、キャリアは私も知っているが、改めて凄い奏者だと思った。彼は一度ベルリンフィルを辞めた後、復帰した。ベルリンフィルは今後二度と彼を手放すべきではない。私はずっとパユを見ていた。しびれました。彼、きっとファン多いんだろうねぇ(笑)。

 1番・2番の公演しか買わなかったが、3番・4番の公演も行けば良かった。田園も行けば良かった。(経済的には困難なのだけど)

今日の公演はどうだったのかなあ・・?