クラシック、オペラの粋を極める!

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社会の成熟度って

クラシック専門チャンネル「クラシカ・ジャパン」で、「ベルリン州立歌劇場の再建」というタイトルのドキュメンタリー番組が放送され、これを見た。
改修工事のため閉鎖されていた劇場は、工事の遅延で予定が延びながらも、昨年ようやく再開。このドキュメンタリーは、そこに至るまでの経過について、もちろん指揮者バレンボイムや芸術監督J・フリム、あるいは歌手などのインタビューも盛り込みつつ、どちらかと言えば劇場を裏方として支えている様々な部署の労働者たちにスポットを当て、彼らを通して劇場の生まれ変わりを見つめていた。
 
それなりに興味深いドキュメンタリーではあった。
だが、私がここで注目しピックアップしたいのは、メインテーマである劇場の再建に関することではなく、一人のステージマネージャー(大道具係)がふと漏らしたお話だ。
このマネージャーさんは旧東独出身。昔話で、初めて「西側」に行った時の思い出として、日本ツアー(歌劇場の引っ越し公演)のことを語り始めた。
 
彼は言った。
「日本で最も印象的だったのは、スーツケースの取扱いだ。移動する前夜、指定の時間である午後10時14分にホテルの廊下にスーツケースを出すと、10時16分にはもうなくなっていた。翌日、移動して新しいホテルの部屋に入ると、そこにスーツケースが待っていた。それがずっと続くんだよ!私の理解を超えた別世界だ!」
 
これね、これ。
これ、日本で普通。当たり前。昔もそうだったし、今もそう。
で、日本人からすれば当たり前のことが、東西が統合されて30年経っても未だに当たり前でないドイツ。
もちろんドイツだけでなく、世界のほとんどの国において、全然当たり前でない。
 
時間が正確で、決められていることが決められたとおりに稼働するためのサービスが徹底されている日本。
これが我が国の社会成熟度だと思う。(政治の成熟度はあえて別にしておきましょう。)
 
話は変わる。
ニュースによると、フランス鉄道SNCFがこれから3か月に及ぶストライキを決行するらしいとのことだ。
やれやれ、またか。また始まったか。本当にどうしようもない奴らだ。
 
連中からすれば、自らの地位、賃金、生活や職場環境の向上等を勝ち取るための、法的に正当に認められた権利行使であり、何ら問題はないということだろう。
だが、私は「なんて未熟な社会だ」と感じる。
 
要求を勝ち取る手段として、人に迷惑をかける。
人に迷惑をかけることで、要求を認めさせる。
 
これってさ、自分のためなら他人のことはどうだっていいということだろ。違うか?
話し合いをし、自分の意見を言いつつ相手の意見を聞き、自分の立場と相手の立場の両方を計り、解決に向け、妥結のラインをお互いが探る。
どうしてこれが出来ないのか。
結局、未熟ということなのだ。これに尽きる。
 
例えば、人質を取って籠城し、「金を持って来い!」と脅す。
これは犯罪であり、絶対にやってはいけないことだ。
 
だが、法を犯した行為か、それとも法に則った行為かの差だけで、根っこの部分、出発点の部分は同じような気がする。
もちろん、暴論であることを承知であえてそう言わせてもらう。
 
本当は、アメリカにおける銃社会についても、私なりの意見を持っているのだが、これ以上述べるのはやめよう。思想の問題に行き着いてしまうからね。