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2011/7/16 東響

2011年7月16日  東京交響楽団定期演奏会  サントリーホール
ライナー・キュッヒル(ヴァイオリン)、西村眞紀(ヴィオラ
モーツァルト  交響曲第25番
モーツァルト  ヴァイオリンとヴィオラのための交響協奏曲
 
 
 ウィーンフィルの顔であるキュッヒル教授が、ソロを弾くだけでなくメインでコンマスを務めるという何ともスペシャルなコンサート。一曲目こそ、スダーンによる絶妙のバランスとコントロールを追求した精密な完成品が披露されたが、二曲目からキュッヒルが登場した瞬間、もう完全に彼の主導になってしまい、さすがのスダーンもタジタジだった。それほどキュッヒルの存在はデカかった。迫力があった。オーラがあった。
 
 それにしても、さすがウィーンフィルコンマスだなあ、とつくづく感心。上手いかとかいう技術の問題ではなく(技術だけを言うのなら、私はそんなに感心しない)、有無を言わせないほどの揺るぎない力強さが音に込められている。あの音こそ、世界最高のオーケストラを引っ張っている人の音なのだ。あれくらい確信のある強い音でないと、世界最高のオーケストラをリードできないのだ。
 
 昔、ベルリン・フィルコンマスだった安永徹さんがゲストコンサートマスターとして都響に出演したことがあったそうだ。私は学生時代、大学オケの弦楽器トレーナーであった都響のヴァイオリニストさん(女性)に何度かレッスンしてもらったことがあったが、その人がその時の安永さんについて、目を輝かせながら「もう、ホントにすっごぉぉ~い!!オケの音が全然違う~!!」と興奮気味に語っていたことを思い出した。
 
 この日の東響も明らかに普段と音が違っていた。第一コンマスのニキティンさん、コンマスの高木さん、その他アシスタントコンマスさんも揃えて最高の布陣が敷かれ、そこにキュッヒルが加わって合奏を統率。楽団員の「彼から発信される何かを得て学びたい」という姿勢がひしひしと感じられた。実際、浄夜で奏でられた音の美しかったこと!
 
 いや~、良いもの見ました、聴きました。最高でした。
 
 ちなみに、休憩が終わって、後半部の演奏のため楽団員がステージに入ってきた際、他のオケ奏者と一緒にキュッヒルが登場すると拍手が沸き起こった。席に着いてもただちに着席せず、奏者全員を起立させたままにして、最後の奏者の入場を確認して全員を着席させるというウィーンフィルの入場スタイルをここ東響でも貫いたのが実に面白かった。