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2011/11/26 パリ管

2011年11月26日  パリ管弦楽団   サントリーホール
諏訪内晶子(ヴァイオリン)
ウェーバー  魔弾の射手序曲
メンデルスゾーン  ヴァイオリン協奏曲
 
 
 芸術の秋。サンクトペテルブルグフィルに始まり、東響(スダーン指揮)、そしてベルリン・フィルと極上のオーケストラの調べに酔ったスペシャル月間。(行かなかったけど、チューリッヒ・トーンハレ管も来た。)シリーズのトリを飾ったのは、まさに芸術の秋にふさわしい芸術の都からの使節団、パリ管弦楽団である。
 
 ズバリ、「The・名演!」であった。(このフレーズを使うのは久しぶり)
しかも、「超」が付くほどの。
 
 「幻想」は人気のある曲なので、これまで日本で、国内・外来併せて数えきれないほど演奏されてきているが、その演奏史上でも10指に入るくらいのトレビア~ンな演奏だったのではないだろうか?少なくとも、私はこの曲を実演で20回くらい聴いているが、その中でもベストだったと断言できる。同じパリ管でもビシュコフとプレートルで幻想を聴いたが、私はヤルヴィに軍配を上げる。
 
 まあ、なんたってパリ管の幻想だもんなー。何十年経っても色褪せない不滅の名盤ミンシュの録音以来、このオケの代名詞と言っていい挨拶代わりの十八番曲なのだから。
 各奏者の顔を見れば、どれほどこの曲を得意にしているかが一目瞭然である。自信満々、余裕綽々、そして強烈なプライドが滲みでた連中の顔、顔、顔。
 どこかで見たことがあるぞ、この‘どや顔’。そうだ、天下のウィーン・フィルだ。ウィーン・フィルモーツァルトだ。あるいはシュトラウス一族のウィンナ・ワルツとか。
 
 オーケストラはとにかく上手い。数日前に聞いたベルリン・フィルの超絶的な上手さには痺れまくったが、演奏の流儀が全く異なっていて、パリ管はパリ管で上手い。(比べるのは野暮ってもの。)
 木管パートの美しさ、繊細さはこのオケの特色であり、伝統の響きそのものであるが、私は弦楽器の色彩豊かなサウンドにも大いに魅了された。統率の取れた打楽器群も実に爽快でかっこよかった。
 
 これだけ完ぺきに演奏してくれたら、指揮者はさぞかし楽チンだろう。左うちわのおまかせモードで十分オーケーだというのに、全力で曲に向かい合い、オケに対峙し、てきぱきと隙のない合図を繰り出すなんて、まったくパヴォちゃんたらマジメなんだからぁ。でも、P席で見ていたけど、時折パリ管が繰り出す絢爛な響きに思わず笑みがこぼれてしまうその表情はしっかりキャッチしたぞ(笑)。
 
 シンシナティ響やドイツ・カンマーフィル・ブレーメンなどの演奏能力を飛躍的に高めたヤルヴィ。hr響とパリ管の2つの世界的オーケストラを手に入れて、これからの活躍がますます楽しみである。
 パリ管もまた、いいシェフを確保したと思う。相性は「良」とみた。これから黄金時代を築く予感。また来日してください。お待ちしてます。
 
 そうそう、諏訪内さんのメン・コンもあったっけ。良かったと思ったが、幻想の決定的名演にすっかり霞んでしまいました(笑)。