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2024/3/25 イースター・フェスティバル2 ワーグナー・ガラ

2024年3月25日  バーデン・バーデン・イースター音楽祭2    祝祭劇場
ワーグナー・ガラ》
指揮  キリル・ペトレンコ
管弦楽  ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ワーグナー  タンホイザーより 序曲とヴェーヌスベルクの場面
       ワルキューレより 第一幕
クラウス・フロリアン・フォークト(ジークムント)、ヴィダ・ミクネヴィチューテ(ジークリンデ)、クワンチュル・ユン(フンディング)

 

当初予定キャストからの変更があった。
ジークムントは、元々はブランドン・ジョバノヴィッチが予定されていたが、クラウス・フロリアン・フォークトになった。

あのー、ジョバノヴィッチには大変申し訳無いんだけど・・これっていわゆる一つのアップグレードってやつじゃん(笑)。
いやいや、ほくそ笑みが止まらん。ジョバさん、お譲りいただきどうもありがとう。


実は、ベルリン・フィル年末恒例のイベント、ジルベスター・コンサートで、昨年12月末、この日とまったく同じプログラムが演奏された。
ジルベスターの方は、スター・テノールヨナス・カウフマンが出演し、大きな話題になっていた。
今回カウフマンは、ザルツブルクイースター音楽祭に出演中のため、バーデン・バーデンでのキャスティングは最初から無いのだが、K・F・Vになって、完全に遜色がなくなった。そもそも私は、カウフマンという歌手にまったくスペシャル感を持ち合わせないのでね。
(歌唱の素晴らしさ云々ではなく、この人をプロとして信用出来ないのである。)


ちなみにだが、ペトレンコは2017年にバイエルン州立歌劇場と来日した際、コンサート形式で「ワルキューレ 第一幕」を演奏している。聴いた人も多かろう。この時のジークムントはフォークト、ジークリンデがE・グバノヴァ、フンディングがG・ツェッペンフェルトだった。


本公演のポイントは、やっぱり「ベルリン・フィルワーグナー」ということで決まり。
重厚さは言うまでもない。骨太のワーグナー。音の迫力、瞬発力がハンパなく、ステージから沸き立つ覇気がビシビシ伝わってくる。
フルトヴェングラーカラヤンの時代から脈々と受け継がれている、「これぞベルリン・フィル!」という響きだが、決して壮麗さだけをひけらかさないのが、ペトレンコの流儀。スコアを緻密に解析し、バランスや音楽の流れを機敏に整える。想像だが、彼のリハはかなり細かいのではないか。決して妥協しないという噂も聞く。


ジークリンデ役のミクネヴィチューテは、昨年ベルリン州立歌劇場で初めて聴き、新鮮な衝撃を受けた歌手だ。当時、私は彼女のことを知らなかったが、今はもう完全に信頼を寄せることが出来る。その信頼にしっかりと応えてくれる素晴らしい歌手。


ところで、クラウス・フロリアン・フォークト、この公演の数時間前、バーデン・バーデンの街中で偶然ばったり目撃した。一人で歩いているところを、日本人の数人(ツアー客だと思う)に発見され、取り囲まれ、写真をせがまれていた(笑)。
フォークトさん、嫌な顔せず、笑顔で一人ひとりに丁寧に応じていた。いい人だねえ。

微笑ましく眺めつつ、私はすたこらと立ち去った。
私自身、アーティストに近づき、サインとか写真とかをせがみたいとはそれほど思わない。(例外がないわけでもないが)
私が欲するのは素晴らしい音楽。音楽で感動出来れば、それで満足。感動こそが、私にとってサインや写真に匹敵する思い出の品。