クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2023/4/6 夏の夜の夢

2023年4月6日  ハレ劇場
ブリテン  夏の夜の夢
指揮  ミヒャエル・ヴェンデベルク
演出  ワルター・スットクリフ
レアンドロ・マルツィオッテ(オベロン)、ヴァネッサ・ヴァルトハルト(タイターニア)、セルゲイ・ミシュチュレンコ(パック)、キム・チュルヒュン(ライサンダー)、アンドレアス・バインハウアー(ディミートリアス)、ユリア・ソコリク(ハーミア)、リンダ・ヴァン・コッペンハーゲン(ヘレナ)   他


めったに上演されない本演目を新国立劇場が採り上げたのが2020年10月。
あれから3年も経たずして、再びこのレア作品を観られるとは思わなかった。ハンブルクのコンサートがキャンセルになったための代替として選んだ公演だが、初めて訪れる街と劇場という意味も含め、良い機会だ。

上演の話の前に、開演前のエピソードを一つ。

チケットを事前にネットで予約するにあたり、私は安いカテゴリー席を選んだ。ローカル劇場で出演者は誰一人知らない。「夏の夜の夢」を観られればそれでいいだけだから、安い席で十分なのである。
チケットは3か月前の段階で、残りまくっていた。「これで上演が成立するの?」と心配になるくらい売れていなかった。そんな中での3階(最上階)の指定席だった。

劇場に入ると、その3階席への階段が封鎖されていた。
こっそり封鎖を乗り越えて3階に行ってみたら、客席全体にシートが被せられていた。3階席すべてがクローズドというわけだ。

私は1階のロビーに戻り、そこにいた案内係に尋ねた。「自分の席はどうなっているのでしょう?」と。
係の担当者は「とりあえず2階席に行ってください。」と返答。
私「2階席の同じ列の同じ席番号ということでよろしいのですか?」
係「それは2階席の案内係に聞いてください。」

2階にいた案内係に同じ質問をした。
係「どこでも自由に空いている席に座ってください。」

思わず苦笑。
だったら、そういう連絡をしろよ。予約した際にメールアドレス登録してあるんだぜ。
一歩譲って、劇場に入る際にチケットをチェックしてるんだから、そこでそういうふうに教えてくれたっていいでしょう。
それとも、ドイツ語が出来なそうな外国人だったので、面倒くさくて省略したか? てめー。

まあ結論からすれば、当初自分が購入した席よりも良い席に座れたわけだから、文句なしだけどな。
(お客さんの入りは、自分が予約した時よりは埋まっていたが、それでもガラガラであった。)


それでは公演の内容について。
オリジナルのリブレットはブリテンなので英語だが、ドイツ語訳詞上演。こうしたローカル劇場では珍しいことではない。

キャストの歌手はおそらく、ほとんどの人が劇場の専属アンサンブルだと思う。
しかし、だからといって、彼らを決して侮ってはならない。実力は備わっており、十分にプロフェッショナルなオペラとして成立している。
名前から推測するに、決してドイツ人だけで固まっているわけではなく、国際色豊か。飛躍を求め、世界中からオーディションを受けにやってくるのだ。つまり、彼らは勝ち抜いてこのステージに立っている。そして、あわよくばここから更なるステップアップを図るため、格上の他の劇場進出を目論んでいる。

そうした実力勝負の世界に身を投じ、挑戦しようと、はるばるアジアからやってくる韓国人の歌手たち。こうしたローカル劇場に行けば、必ずと言っていいほど一人や二人その名を見かける。この国出身の歌手たちの野心は実に見上げたものだ。

で、二期会や藤原とかに所属して現状満足している日本の歌手諸君、あのさー、キミたち何やってんの?


演出について。
これもまたローカル劇場にいかにもありがちな、シンプルな装置。予算は限られているが、照明と演技と衣装で、創造性のある舞台を作り上げる。演出家の腕の見せ所だ。

面白かったのは、開演前、それから幕間と、登場人物の衣装を着た役者(出演歌手ではない)がロビーを歩き回っていた。開演前から物語が始まっていて、観客を舞台に誘う役割を負っていたわけである。