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2023/3/5 テツラフ&デュルケン デュオリサイタル

2023年3月5日   テツラフ&デュルケン デュオリサイタル  トッパンホール
クリスティアン・テツラフ(ヴァイオリン)、キヴェリ・デュルケン(ピアノ)
ヤナーチェク  ヴァイオリン・ソナタ
バルトーク  ヴァイオリン・ソナタ第2番
スーク  4つの小品
ブラームス  ヴァイオリン・ソナタ第3番


若い頃からハンサムな青年だったが、今や見るからにワイルドさと渋さをプンプンと漂わせているイケオジになった、テツラフ。
「LEON」誌の表紙、飾れるぞ、テツラフ。
しかもヴァイオリン奏者としてますます磨きがかかり、超一流。
くそー、カッコええのう。モテモテなんだろうなぁ、くそー。

などという冗談はさておき。
その演奏は、見た目の渋くてかっこいい印象と異なり、身体を大きく揺さぶって表現の幅を広げようとする情熱的スタイル。もちろん、単に旋律と一緒に踊っているわけではなく、深い解釈に基づき、音楽に生命力を付与させるための精一杯の演奏技術であることが、一目瞭然だ。
また、使用している楽器の影響なのかもしれないが、豊潤な音色というより、もっと直線的に鋭く飛んでくる感じを受ける。

かくして、演奏された各作品は、どれもこれも聴衆の心にグサッと迫り、圧倒的な感銘と充実感をもたらす。
「これぞテツラフ!」というわけだ。

テツラフの演奏はこれまでに何度となく聴いているが、今回ほどアグレッシブな印象を抱いたことはなかった。
その理由として、一つには、ヤナーチェクバルトーク、スークという東欧の濃厚民族音楽系の作品が並んだから、というのがあるだろう。
そしてもう一つ、ピアノのデュルケンとデュオを組んだ、というのが大きかったと思う。彼女の強靱かつ激烈なピアニズムが、テツラフの演奏を触発させたのは、きっと間違いない。

プログラム解説によれば、彼女はテツラフの盟友だった故ラルス・フォークトの愛弟子なのだという。
昨年9月に若くして惜しくも他界したフォークト。デュルケンは、単にその遺志を継ぐだけでなく、溢れ出るエネルギーによってヴァイオリニストの孤高の世界観を更に活性化させているのだとしたら、こんなすごいことはない。