2022年7月3日 ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団 東京オペラシティコンサートホール
指揮 フランソワ・グサヴィエ・ロト
河村尚子(ピアノ)
モーツァルト ピアノ協奏曲第20番
ブルックナー 交響曲第4番 ロマンティック
特例だったウィーン・フィルを除き、2年半ぶりの外来オーケストラ公演。「本当に来るのか?」という懐疑心はずっとあったが、こうして実現すると、何とも言えず感慨深い。
一方で、実は密かに一抹の不安があった。
こちらの期待どおり「さすが本場のオーケストラだよな」みたいな格の違いを見せつけてくれるのか。「やっぱり外来は違うよな」みたいな満足感と再認識を与えてくれるのか。
ずっと我慢し、待ち続け、いざ臨んだらまさかの拍子抜け、「なんだい、ドイツのオケってこの程度だったっけ?」になったら、一体どうしてくれよう。
この2年半の間、日本のオーケストラを聴き続けてきた。日本のオケだって、決して捨てたもんじゃない。彼らは未曾有の危機の中、出来ることをやり、きっちりと気概を見せ、存在価値を示してきた。誇っていい。素直に称えたい。
でも、それはそれとして、やっぱり「本場のすごさ」を目の当たりにしたいのだ。華麗なる伝統のサウンドを聴いて唸りたいのだ。
試金石となるトップバッターの役目を、ベルリン・フィルでもバイエルン放響でもコンセルトヘボウでもなく、ギュルツェニヒ管が担った。大丈夫か、おい・・・。
心配は杞憂だった。
聴こえてきたのだ、ドイツの響きが。見えたのだ、ギュルツェニヒ管らしい独特の際立った色が。
そう! それ! その音、その響き、その色!
嬉しくて、思わずニヤけてしまった。
思うに、指揮者がFXロトだったというのが、やっぱ大きい。彼は、オーケストラの音を自在に操ることが出来る、世界でも稀有の指揮者だからだ。
前半のモーツァルトが絶品。ロトがモーツァルトの世界を構築し、細部に渡って表情を作ってくれるおかげで、河村さんのソロが快活に沸き立つ。こんなに胸のすくようなモーツァルトは久しぶりだ。河村さんに拍手を送りたいけど、でも申し訳ないけど、やっぱロト。
後半のブルックナーは、ガクガクブルブル (((( ;゚Д゚)))
ロトがどうのこうのではなくて、校訂第1稿の衝撃に、完全にお口ぽっかーん。
いやー、驚いた。なんじゃこれ。別の曲って言ってもいいくらいじゃんか。
これもいわゆるロト流の一発お見舞いなのか。
どうなんすかねぇ・・・作曲家は改訂したわけですよ。改訂したということは、改善を施したというわけですよ。作曲家は、より良くしようとして手を加えたわけですよ。
それを、元に戻して披露しちゃうってのは、どうなんすかねぇ。
天国にいるブルックナーさん、どうなんすか。
「ロトの解析とオーケストラの演奏が良かったので許す」で、よろしいですか??