2016年2月18日 シュターツカペレ・ベルリン ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮・ピアノ ダニエル・バレンボイム
いったいこのオーケストラ、どんだけ優秀なのだ!?
やれやれ、すごいなあ。羨ましいなあ。俺もドイツに生まれたかったなあ・・・。
さて、この日の第8番。
全9曲(更に‘ヌル’を加えたっていい)の中でも、とりわけこの作品はスケールの大きさ、格調の高さ、高揚力などにおいて、絶頂、究極とも言えるのではないだろうか。チクルスの中で唯一2回公演があることが、その証として物語っている。
今回の私の目的は「普段なかなか演奏されない作品を、この機会に聴くこと」だった。だから、1番、2番、3番、そして6番の公演に足を運び、その目的は果たした。
それでもやはり、8番を外すことはどうしても出来なかった。8番の演奏がすべての中でベストだったかどうかは別として、目玉でありハイライトであったことは間違いない、と思う。
至福の90分だった。
思わずのけぞるような美の瞬間があった。
まるで撃ち抜かれたかのような衝撃の瞬間があった。
じわーんと涙腺が刺激されたかのような瞬間があった。
ゾクゾクするほど鼓動が高鳴った瞬間があった。
要するに、心が揺さぶられた感動のすべてが、作品の中に、演奏の中にあった。
その木管楽器のソロ演奏では、支える弦楽器の水面からまるで顔半分だけが覗くかのように、旋律が絶妙の加減で浮かび上がってくる。
もちろんこうしたハーモニーは、指揮者の類まれなる音作りとバランス調整によって築かれた賜物かもしれないが、一方で、オーケストラに自ずと備わっている独特の感覚が自然に働いているのではないかと思えてならない。
この独特の感覚は、日本やアメリカのオーケストラなどからはなかなか味わえない芸当。
これがいわゆる「伝統の力」ってやつなのだろうか。
なんかそんな簡単に一言で言い表してしまうのは、とてもとても安易で憚るのだが・・・。