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2016/9/25 東響

2016年9月25日   東京交響楽団   ミューザ川崎シンフォニーホール
合唱  東響コーラス、東京少年少女合唱隊
マイケル・スパイアーズ(テノール)、ミハイル・ペトレンコ(バス)、ソフィー・コッシュ(メゾ・ソプラノ)、北川辰彦(バス・バリトン
 
 
東響創設70周年を祝った記念碑的とも言える名演。こんなに素晴らしいベルリオーズを聴けるとは、なんという幸福だろうか!
 
・・・と書くと、いかにもサプライズの公演に出会ったようだが、そんなことはい。サプライズでもなんでもなく、十分に予期できた必然の名演である。
 
スダーンという指揮者は、種を蒔き、苗木を育て、そして花開かせる一連の作業にかけては、天下一品。指揮者としての腕前ピカイチである。しかも、この曲をこれまでに30回以上指揮しているとのことで、作品の理解と掌握は万全。
あとは十分なリハ時間を確保できるかどうかだけが課題だったが、演奏を聞けば実際にどうだったか推して知るべしである。
 
具体的には、中低音の弦楽器群が全体を支え、そこに管楽器が加わって色を添え、最後に歌唱がその上に乗っかるというハーモニー調整が絶妙。いわゆる独特の「ベルリオーズの響き」、これはかなり緻密に音楽を作らないと聞こえてこない。リハ段階から丁寧に構築していかないと決して現れないのだ。
 
指揮者スダーンの仕事は完璧だった。
オーケストラは見事に応えた。
合唱だって暗譜で臨み、ハイクオリティで、ここまでどれだけ練習してきたかの成果を見せつけた。
 
極めつけが3人のソリスト
 
マイケル・スパイアーズのちょっと軽めだが伸びのある声、余裕のある歌唱テクニックに聴衆が聞き惚れた。
ミハイル・ペトレンコも、メフィストフェレスの性格を上手に表現していた。
 
そして、ソフィー・コッシュ。
みんな聴いたか、コッシュの歌唱を。
来日は15年ぶりたったの2回目なので、ひょっとすると知名度が高くないかもしれないが、彼女は正真正銘の「ディーヴァ(女神)」である。
 
ただし、圧倒するかのような煌きではない。魅惑のヴォイスでたちまち虜にしてしまうような、惹きつけられる歌なのだ。
 
私は普段、出演者に近づいて声を掛けたり、サインを貰ったりすることはしないのだが、今回はそうしたい衝動に駆られた。彼女に話し掛けたかった。
 
ダーム・コッシュ、貴女のマルグリートは素晴らしい。
貴女のオクタヴィアン、アリアドネの作曲家、シャルロッテも素晴らしい。
ヴェーヌスやフリッカだって素晴らしい。
今度、ついについにカルメンを歌うそうじゃありませんか。ああ聴きたい。
ついでにデリラも歌ってほしい。
 
結局、会いに行きませんでしたけど・・。
 
話はいつの間にかコッシュへの憧れに流れてしまったが、まあそれはともかく、この公演を聴けて本当に幸せだった。