クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2014/6/14 東響

期待が膨らめば膨らむほど、結果が出なかった時の失望はデカい。
客観的に見、かつ冷静に分析すれば、実力差は明確に存在した。本来だったらその実力差を踏まえた戦略を立てるべきだったが、あまりにも自分たちが目指している理想型にこだわり過ぎた。
「相手が誰であろうと自分たちの攻撃的サッカーを貫く」というのは確かに聞こえはいい。
しかし、相手が強ければ必然的に相手のペースになるわけで、自分たちのサッカーは貫けない。にも関わらず、選手も我々も「ひょっとして出来るんじゃないのか? いや絶対に出来る!」という根拠のない思い込みに惑わされ、夢を見、そして現実を突き付けられた・・・。
 
・・えーと、今日は何の話だっけ?
そうそう、東響でした(笑)。
音楽はええのう。残酷な勝ち負けがなくてな。
 
 
2014年6月14日   東京交響楽団定期演奏会   サントリーホール
サーシャ・クック(メゾ・ソプラノ)
ブーレーズ  ノタシオンⅠ-Ⅳ
ベルリオーズ  夏の夜
シューベルト  交響曲第8番ザ・グーレト
 
 
 新しい音楽監督ノットによる古典と現代を織り交ぜた意欲的なプログラム。就任披露演奏会は残念ながら行くことが出来なかったので、個人的に楽しみにしていた公演だ。特にシューベルトは前監督スダーンが確立したスタイルを打ち出して高い評価を得ただけに、新監督がどのように調理するのか見ものであった。
 
 で、結果はスバリ「The 名演!」だった。(音楽はええのう。スコアに表れなくて)
 ノットが指揮するオーケストラ公演はこれまでにも行ったことがある。その時の印象ではあまり感じなかったのだが、今こうして改めて聴いてみると、非常に引き出しの多い指揮者であることに気づく。スコアに潜在する作曲家の意図や音符の意味を次から次へと読み取り、それを分かりやすくオーケストラに伝達し、表現させる。こうした手腕が実に卓越していると感じた。
 オーケストラからしてみると、例えばグレートみたいな名曲はこれまでに何十回と演奏しているわけで、慣れた曲から新鮮さを引き出せるかどうかは重要なポイントだろう。おそらくノットは、各奏者が「なるほど」と唸るような視点や、演奏の質を上手に高めてくれる豊富なアイデアを提供することに成功した。だからこそ共演回数がわずかだったにも関わらず、「是非音楽監督に!」と三顧の礼で迎え入れたのだ。
 
 出てくる音楽は生き生きとしてみずみずしい。表現が起伏に富み、色彩が刻々と変化するので、まったく退屈しない。長大なグレートだが、その長大さを忘れるくらいだった。
 また、私にとって鬼門である現代音楽(ブーレーズ)さえも、多層的立体的な響きの構築で、そこに面白さを見出すことが出来たことも特筆すべき点だった。
 
 ということで、ノット&東響の公演は今後も目を離すことが出来ない。これが結論。