指揮 ユベール・スダーン
東響コーラス、東京少年少女合唱隊
ベルリオーズ 序曲ローマの謝肉祭
ペンデレツキ 3つの中国の歌
ベルリオーズ テ・デウム
東響の実力とステータスの向上に多大なる貢献を果たし、多くのファンから惜しまれつつ音楽監督の職を退任したあのスダーン氏が戻ってきた! He is BACK!
わずか2か月も経たないうちに(笑)
お久しぶりというにはちょっと早いのう。感覚的には、いつものとおりまた来てくれたという感じ。懐かしさはなし。
どうやらスダーンと東響にはやり残した仕事があったようだ。
2011年3月、あの大震災の影響で中止を余儀なくされた公演のリベンジマッチ。それが今回のプログラムだったというわけ。
ベルリオーズのテ・デウムは滅多に演奏されないというだけでなく、オルガンやソロ・テノール、合唱(児童合唱を含む)を伴う壮大でスペクタクルな作品だけに、指揮者にとっても楽団にとっても心残りで引っかかるものがあったに違いない。
もちろん東響コーラスにとっても思いは共有だろう。並々ならぬ意欲を持って練習に励み、本番を迎えたことは容易に想像できる。なにしろ全曲暗譜で臨んで来たのだから。
私は合唱団にかなり近い席で聴いていたのだが、とにかく彼ら一人ひとりの真剣な表情と凝縮された集中力に圧倒された。全員が前のめりでスダーンの指揮に食らいついている感じだった。こうなってくると、もう技術レベルや質を超えて、気合いや思いが聴衆の心にストレートに伝わり、感動を誘うのである。
またスダーンの合唱の能力を最大限に引き出す腕前が本当に達者で、思わず舌を巻く。
というか、合唱の能力だけでなく、オーケストラを含むすべての演奏者に対して、というのが正確だろう。要するに演奏者はスダーンの熱いタクトにみるみるうちに引き込まれていってしまい、献身的自発的に音楽を奏でることになる。こういう能力を備えている指揮者のことを、我々は「カリスマ」と呼ぶ。
そのスダーンに対して、終演後、楽団代表が抱擁とともに花束を贈呈した。その瞬間、聴衆、オーケストラ、合唱が一つになり、場内は盛大な拍手喝采に包まれた。感激の面持ちのスダーン。
あれ、ちょっと待て。これはまるで長年の功績を称え、惜別と感謝の気持ちを送るセレモニーではないか!?
音楽監督退任の節目となる今年3月の公演に私は行けなかったのだが、その時にセレモニーはやらなかったの??
そこらへんの事情は分からなかったが、まあ何はともあれ、こうした美しいシーンに立ち会うことが出来たのは良かった。私自身も感激したし、たくさんの拍手を捧げた。ありがとう!マエストロ・スダーン!そしてさようなら。
で? 次回の来日はいつでしたっけ??
え? 7月?? 早っ(笑)