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2014/10/12 東響

2014年10月12日   東京交響楽団名曲全集シリーズ   ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮  クシシュトフ・ウルバンスキ
 
 
ウルバンスキ。若いからといって侮ってはいけない。この指揮者、ただ者ではない。
3年前の客演でもショスタコーヴィチを採り上げ(10番)、これを聴いたけど、その時も「すげえな」と思った。
暗譜で指揮していたけど、単なるパフォーマンスではなく、おそらく本当にすべての音符が頭に入っているんじゃないかと思う。
で、おそらくすべての音符が聞こえているんじゃないかと思う。どんなに小さな音も漏らさずに合奏の中から聴き分けているんじゃないか。そんな気がする。
 
彼のキレキレのタクトを眺めていたら、高校の時の同級生クンを思い出した。
お勉強が超デキる奴だった。
数学の難問で、クラスの誰もが頭を抱える中、彼は問題を読み終えた瞬間、考える間もなく悩むこともなくペンを走らせた。問題用紙の余白はあっという間に数式や記号で埋め尽くされた。ペンは途中で止まることなく、一気にまっしぐらに解答に突き進んで行った・・・。
おそらくコイツは秀才ではなく、生まれながらにして頭がいい、いわゆる天才なのだろうなと思った。その彼は東大に現役合格した。
 
ウルバンスキに、その同級生クンと同じ天才性を感じる。
この若い指揮者は、どんな曲でもいきなり初見でタクトを振れてしまうのではないだろうか。
 
顔もどこかしら天才のような風貌である。イメージで「天才少年を描いてみろ」と言われたら、きっとこんな顔に仕立て上がる。
同じような顔をしている演奏家がいる。
ヒラリー・ハーンだ。彼女も天才の香りがプンプンと漂っている。ヒラリンとウルバンはきっと同種族だ。
 
出てくる音楽も彼の非凡性がよく表れている。とにかく音がクリアで、道筋がはっきりしている。
一方で、作曲家の苦悩や叫び、泥臭さといったものは影を潜めるのであるが、私は別にこういう演奏もアリだと思うし、聴いていて率直に楽しかった。
 
 
それにしても、会場でこの曲を聴きながら居眠りしているお客さんの多かったこと!(笑)
やっぱり難しいのかなあ、タコ・・。
「名曲シリーズなんだから、こういう難しい曲やらないでよね!」という地元川崎のお客さんの声が聞こえてきそう。これには天才指揮者も為す術なしだ。
 
いや、あのう、すみません・・・
名曲なんですけど・・・(笑)