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2015/6/29 都響

2015年6月29日   東京都交響楽団定期演奏会   東京文化会館
指揮  オレグ・カエターニ
ブリテン  ロシアの葬送
タンスマン  フレスコバルディの主題による変奏曲
ショスタコーヴィチ  交響曲第11番「1905年」
 
 
 カエターニ。鬼才と呼ばれる指揮者イーゴリ・マルケヴィチの息子。
 マルケヴィチと言えば、日本で指揮したストラヴィンスキー春の祭典の演奏が伝説として語り継がれている。なぜか母親の性を名乗っているので、そこらへんのことを知らない人も多いかもしれない。
 ショスタコーヴィチはミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ響と交響曲全集を録音している。ロシアで学んでいたこともあり、得意中の得意なのだろう。
 
 そうしたこともあって、カエターニのタクトとその音楽に大いなる期待を抱いて会場に出掛けたわけであるが、実際に魅せられたのはオーケストラのひたむきな演奏だった。
 もちろん都響の演奏能力の高さは良く知っているつもりだが、改めてその優秀さに舌を巻いた。特に弦楽器群の一糸乱れぬ統制は見事としか言いようが無い。
 それを率いていたのは紛れもなくコンサートマスター矢部達哉氏。曲に共感し、指揮者の意図を汲み取り、それを全身で弾き表しながらオーケストラをリードしていく。
 とにかくその弾き方がカッコイイんだ、これが。思わず見入ってしまった。まだ若いけど、都響の歴史に名を残す名コンサートマスターになっていく予感。すごいぞ矢部クン!
 
 カエターニのショスタコは、もっと熱さや激しさが前面に出るかと思ったが、意外とクール。冷徹かつ厳粛な雰囲気がよく出ていたのは、彼自身のロシアの経験が活かされているのだろうか。ラザレフの解釈とは対極を為すが、それはそれで良い。
 
 ブリテンとタンスマンは両方とも曲をまったく知らなかったが、特にブリテンで主題となる旋律がショスタコ11番の第三楽章で使われる主題と同じだったというのは、驚きの発見であった。プログラムの構成上、とても興味深かった。