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2014/8/3 都響

2014年8月3日   東京都交響楽団 作曲家の肖像シリーズ   東京芸術劇場
ビゼー   交響曲ローマ、アルルの女組曲第1番、第2番
 
 
 アルルの女を聴くためにコンサートに出掛けるなんて、めったにないパターン。でもミンコが振るのなら話は別。彼が振るのならどんなプログラムでも行きまっせ。たとえドヴォルザークだって喜んで行くぜー。
 日本のオケではオーケストラ・アンサンブル金沢との共演で何度か来日しているミンコさんだが、おそらく都響とは初共演ではなかろうか。しかも東京でたった1日のみのコンサート。これは楽しみだ。
 
 会場は超満員。驚いた。なぜだ!? ミンコだからなのか、誰もが知ってるビゼーの名曲だからなのか、それともこの時期は他に面白そうな公演が乏しいからか。
 多分、これらの要因すべてが重なって大盛況ということなのだろう。
 それにしても都響はつい数日前までインバルの下で重量級プログラムに取り組んでいた。で、間髪をいれずにミンコフスキだ。すごいなあ。オーケストラ冥利に尽きるってわけだ。
 
 ファミリーコンサートの定番であるアルルの女だが、第一組曲も含めてすべての曲が有名かというと、実は意外とそうでもない。かく言う私も、公演前に自宅でCDを改めて聴いてみて「あれ?この曲、耳に馴染んでないぞ?」という盲点の曲があり、我ながら驚いた。チャイコの白鳥の湖と一緒だな。甘く見ていると思わぬ落とし穴がある。
 
 さて、ミンコフスキのビゼー
 古典やバロックを得意とするミンコにとって、お菓子のように甘いビゼーというのはちょっと意外な気もするが、そこはやはり同郷のよしみ。作曲家や作品に対する愛と共感が強く感じられた演奏で、聴いていて本当に嬉しくなった。客席に背を向けているのでよく伺えないが、きっと彼も満面の笑顔で指揮をしていたに違いない。
 そういう雰囲気は聴衆にダイレクトに伝わるものだ。演奏する人も聴く人も、すべてが音楽の喜びを享受する。こういうのを「幸せな体験」というのだろう。
 
 「こりゃきっとアンコールをやるな。もしやるとしたら、それはきっとファランドールのリピートか、もしくはカルメン前奏曲だろうな」と予想したら、なんと、やったのはその両方(笑)。
 おまけにミンコの代名詞である「さあ、客席に向かって一、ニの三」での全員お辞儀ごあいさつ。
 もうそこまでやられては、我々としても盛大にスタンディングオベーションしないわけにはいきません。名指揮者だけに捧げられるオーケストラ退場後の指揮者単独呼び出し。感激の面持ちのミンコフスキ。
 
 ああ、なんて素晴らしい夏の日の午後。