詳しい感想はとりあえず置いておく。しょせん映画だしね(笑)。出演していた歌手たちは皆それぞれ良かったと思う。ただ、主役の伯爵夫人マドレーヌを演じていたルネ・フレミングがどうも私は以前からあんまり好きではなくて、上演終了後、思わず「フレミングがねえ。イマイチだなあ・・・」と呟いてしまった。
一緒に見に行った相棒Oくんがすかさず突っ込んできた。
おお~!鋭いツッコミだ。ドキッとしたよ、うろたえちゃうじゃないかよ。
「いやいや、そんなことはないよ、別にアメリカの歌手だからダメなんてことはないよ、だってさ、例えばさ、えーと、えーと・・・。んーー。」
アメリカ出身の歌手で誰か好きな歌手を挙げようとしたのだが、ヤバい、とっさに思い浮かばない。(笑)
逆に、あまり好きではない歌手でアメリカ人を挙げろと言われると、すぐに2、3人が思い浮かぶ。
D・ヴォイトでしょ、R・D・スミスでしょ、T・ハンプソンでしょ・・・。
でも、間違いありませんが、「アメリカ人だから良くない、嫌い」なんてことは決して決してありません。
そうそう、思い浮かびましたよ。D・ポラスキーとかS・グールドなんかはいいと思いますよ。あとはB・ボニーとかS・レイミーなんかもまあまあいいと思いますよ。(なんだよ、その『まあまあ』っつうのはよ。)
フレミングやヴォイトがあまり好きではないというのは、単純に声質の好みの問題。音楽性の問題ではありません。私は瑞々しい潤いのある声が好き。フレミングやヴォイト、それからもちろんアメリカ人ではないけどバルトリなどは、何となく乾いた感じがする。わたしにとっては、ね。
ま、好みの問題ですから。
でも先日NHK-BSで放送された同じくメト・ライブビューイングのばらの騎士で、幕間休憩中、主役である元帥夫人・フレミング(米)とオクタヴィアン・S・グラハム(米)とゾフィー・C・シェーファー(独)の3人が揃い踏みしてインタビューを受けていたのだが、フレミングとグラハムの二人だけがキャンキャンと喋りっぱなしで、話すタイミングを全くもらえないシェーファーがニコニコしながら横で棒立ちしているのを見た時、「てめーら、このクソアメリカ人どもめー!」とムカムカした。こいつらには遠慮深さ、奥ゆかしさのかけらもない。
そうだ、つまりはそういうことだ。
フレミングがいくらお上品ぶって元帥夫人や伯爵夫人やアラベッラを演じてもイマイチ感情移入できないのは、単に声の好みの問題だけではなく、この奥ゆかしさに欠けているからなのだ。合点がいったわい。
(フレミングのファンの方、ごめんなさい。)