クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2011/5/6 スリにやられた

 友人Kくんから、「早く続きを書いてよ~。『被害まであと1日』と予告してから待たせてるよ~。」というメールをもらった。ちっ。面白がっているな、まったく(笑)。
 はいはい、じゃ、恥を忍んで報告しますよ。
 
 
 5月6日午前8時、インスブルック中央駅のホームでの出来事だった。スイス・バーゼルに向かうため、国際列車の到着をホームで待っていた。この日も朝からいい天気。ホームからも朝日に輝くアルプスがよく見える。南の方向に目を向けると、スキージャンプ台が見えた。ここでオリンピックや数々の国際競技大会が開催されているのだろう。ウキウキ気分でカメラを取り出し、そんな風景のワンショットを写真に収めた。
 
イメージ 1
 
 
 
 おそらく、既にこの時点で、いいカモがいないか辺りを物色していたプロの犯罪師の目にしっかりと留まり、こののんきな観光客にターゲットを絞ったに違いない・・・。
 
 さて、その前にまず、旅行時における私の貴重品の所持方法を簡単にご紹介しよう。
 パスポート、カード類、お財布については、基本的にバッグの中には入れない。ジャケットの胸の内側ポケットに入れて、ボタンやチャックを閉める。外ポケットやお尻のポケットには絶対に入れないのは当然の事。これだけで、単純なスリは‘ある程度’防げる。 ・・と思う。
 
 現金については、盗難だけでなく置き忘れや紛失のリスクを軽減させるため、保管場所を二箇所に分ける。一つがお財布の中、そしてもう一つが手提げバッグの奥の奥の奥。
 今回、リスク分散のためにこのように二箇所に分けたのが逆にアダとなった形だ。狙われたのは、手提げバッグの奥の奥の奥である。
 
 チューリッヒ行きの電車が到着した。
 欧州の鉄道を利用した経験がある人は分かると思うが、ホームが低くなっている分、列車に乗り込む際には3ステップ位の階段を登る必要がある。ドアが開き、まず降りる人がぞろぞろと降りてくる。私は乗車に備えて、すなわち重い荷物を持って階段を登ることに備えて、既に両手で旅行カバンを持ち上げながら待機している。(つまり両手がふさがっている。)この時、もう一つの荷物である手提げバッグ(ショルダーベルトを交差掛け)が腰の後ろに回ってしまっていた。こ・れ・が・最大の失敗。油断であった。
 
 降車の人が終わって、乗車の人達がぞろぞろと狭い入口に向かって押し寄せる。そして一人ずつ階段を上がっていき、自分が乗り込むまでまた少し待機。さあ!プロのお仕事タイムの到来だ。時間にして1分あるかないか。業師にとっては十分な時間だったのかもしれないが。
 
 自分の番が来てよいしょと電車に乗り込み、空いている座席を見つけ、大きなバッグを上方の荷物棚に預けて、ドカッと着席。異変にはすぐに気が付いた。手提げバッグのチャックが開いていたのだ。
 
「ん?? あれ?? あっ!? あ゛! あ゛あ゛ぁぁ~!!!」
(ほれほれ、笑いたければ笑え。)
 
 一応弁解をしておくと、バッグのチャックを開けたら、すぐにそこに現金が見えるようにしておくほど私はバカではない。現金にたどり着くためには更に二つのチャックを開け、その奥まで手をまさぐらないといけないのだ。
 つまり、スッたヤツはプロだ。これまでのプロの経験から、シロウトが貴重品をどこに隠すか分かっているのだ。当てずっぽうにガサゴソ探すのではなく、チャックを開けて奥へ奥へと手を侵入させていくのだ。しかも短時間で。
 
 もう一つ。
 電車に乗り込もうと入り口で待機している人は少なからずいた。もし私の真後ろで怪しい作業をしている人がいたら、周りの人が気が付くと思うのだ。ということは、複数犯で私の後ろを取り囲んだ可能性がある。いや、多分そうだと思う。
 
 被害は現金のみ。同じ場所に自宅の鍵や日本円のコインもあったが、札だけ抜かれた。被害額250ユーロプラス1万円札1枚で約4万円・・・・。(泣)
 
 さっっっすがに、凹んだ。しばらく立ち直れなかった。なんたって、こういう被害は初めてだったのだ。上にも書いたが、やはり油断があったと思う。(別に、慢心でも傲れる者でもないってば、Kくん)
 
 一時間くらい電車の中で悔みに悔やんでいた。だが、だんだんと「これ以上悔やむのをやめよう」と思うようにした。
 悔やんでもお金は戻ってこない。何よりも一番怖いのは、今回の旅行の、他の素晴らしい思い出やコンサート・オペラの感動などが全て壊れてしまうことだ。それは嫌だった。
 
 どうしたか。とにかく思い込むようにした。
「自分はこれまでの旅行で何度もラッキーな経験、得をした経験がある。例えば、エコノミークラスの航空券を買ったのに、これまで何度もビジネスクラスに乗せてもらっている。それらをお金で換算したら、今回の被害額を軽く上回る。トータルで決して損をしていない。」
 
 更に、私の心を慰めてくれたことがあった。
 それはチロル地方やスイスの美しい車窓からの眺めであった。山、谷、川、湖。なんと自然の優しいことよ。こうして私は元気を取り戻した。
 
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 それにしても、スリの連中め。どうか彼らに幸が訪れませんように。こういう悪事を働く奴らは、味を占めて繰り返すそうだ。ということはいつかは必ず捕まるであろう。その時、罰を受けろ。