クラシック、オペラの粋を極める!

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2018/5/10 東京フィル フィデリオ

2018年5月10日  東京フィルハーモニー交響楽団   東京オペラシティコンサートホール
ベートーヴェン  フィデリオ(コンサート形式上演)
合唱  東京オペラシンガーズ
ペーター・ザイフェルト(フロレスタン)、マヌエラ・ウール(レオノーレ)、小森輝彦(ドン・フェルナンド)、ルカ・ピサローニ(ドン・ピツァロ)、フランツ・ヨーゼフ・ゼーリヒ(ロッコ)、シルヴィア・シュヴァルツ(マルツェリーネ)、大槻孝志(ヤキーノ)
 
 
集中力、緊迫感に満ちた名演。
まず、さすがはチョン・ミョンフンと言いたい。
暗譜、そして引き締まったタクトでオーケストラをコントロールし、どの場面においても端正な様式を決して崩さない。演奏の全体的な設計が実に緻密である。
プログラムに指揮者からのメッセージが寄せられていて、「今回の演奏から何らかのスピリットを聞き取ってくれたら」とあったが、ベートーヴェンがこの作品に込めた魂がひしひしと伝わってきて、本当に感動した。この指揮者、やっぱり凄い。
 
次に、東京フィル。
最初に、「集中力、緊迫感に満ちた」と書いたが、近年稀に見るほどのオーケストラのやる気、気概、本気度を感じた。
おそらく、これだけの一流歌手が集い、指揮台の上に名誉音楽監督が立ち、偉大なるベートーヴェンのスコアに対峙して、相当気合いが入ったのだと思う。更に、歌手たちの崇高な歌唱にどんどんと引っ張られたのだと思う。立派な演奏だった。
 
ソロ歌手たち、特にザイフェルトとウールの二人は存在感があり、神々しささえ感じた。
 
私のお気に入り歌手ウールは、持ち前の瑞々しく流麗な歌声が本当に美しく、聴き惚れた。
その他の歌手たちも、遜色なし。
 
 
ところで、この日に先立つサントリーホールの公演で、演奏前の「お話」に対して暴力的なヤジ罵声が入り、会場が凍り付いたという事件があったらしい。
何とも気分が悪く、悲しく残念な事件だ。
 
ただ、それをやらかした本人を擁護するわけでは決してないのだが、あの程度のあらすじ概説を、わざわざ本編冒頭に入れる必要が本当にあったのかは、私も疑問に感じた。
例えばプレトークのように、開演前、10分前とかにやってもいいんじゃないかと思ったし、もし本編冒頭にやる必要があると主催側が判断したのであれば、予めもっとそのことを広報しておくべきだったと思う。HPにも、当日配布のプログラムにも、ただ「お話:篠井英介」と書いてあるだけというのは、いかにも説明不足だ。
 
だからといって、もう一度言っておくけど、会場を凍てつかせるような暴力的なヤジは決して容認しない。みんな音楽を楽しみ、心を豊かにしたいと思って会場に集まっているのだから。その人達たちのワクワクする気分を台無しにするような暴挙は決して許されない。