クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

小澤征爾

 小澤征爾さま、文化勲章受章おめでとうございます。

 貴殿の活躍からすれば当然の受賞でしょう。なんたって世界最高峰の歌劇場のトップに登り詰め、そこに君臨しているわけですからね。これ以上の栄誉がありましょうか?日本人として誇らしいし、クラシックファンとしては彼に国民栄誉賞をあげたっていいくらいだと思う。(残念なことに、日本国民全てに夢と感動を与えたわけではないので、ダメだろうけど)

 ただ、ねえ・・・。

 どうして彼がウィーン国立歌劇場音楽監督になったのだろう?私は未だにその理由が分からない。彼はそれまでのキャリアで他の歌劇場で音楽監督を務めたことがない。務めていたのは長きに渡ったボストン交響楽団音楽監督だ。もちろんオペラも時々振っていたが、彼はどう考えてもシンフォニー指揮者だ。

 オペラハウスの音楽監督の仕事は、いわば司祭者だ。単にオペラを指揮するだけではない。歌手を鍛え上げ、制作過程を見守り、演出家と協同作業を行う。
 オペラは演劇ではない。音楽だ。だから、最高の舞台を創り上げるために、音楽監督の責任は重大なのだ。舞台装置、演出、演技、全てが最高の音楽創出に寄与しているかを見極め、マネージしなければならない。そういうマネージメントを、彼はウィーンで本当にやっているのであろうか?

 彼の監督就任とほぼ時を同じくして、トヨタウィーン国立歌劇場のメインスポンサーになった。日替わりの公演ポスターには、いつも「レクサス」の文字が踊っている。言いたくはないが、結局ジャパンマネー欲しさなのか?と勘ぐってしまう。

 一方で、各方面から聞こえてくるのは、彼の人柄、人間性の素晴らしさだ。共演した歌手のインタビューを雑誌などで読むと、指揮者小澤について、ほとんどの人が絶賛している。
「偉ぶらない。」
「共通理解、相互理解を大切にする。」
「一緒に音楽を創り上げようとする姿勢がある。」
「自らのミスを、『自らのミス』と認めることの出来る数少ない指揮者。」・・・

 音楽の卓越性についてあまり語られないのは残念だが、人間性の豊かさは、やはりもっとも重要ということなのだろう。結局は彼の下で演奏するのもやはり人間なのだから。人は‘良い人間’に付いていくのだろうから。

既にウィーンは次の音楽監督が決まっている。残りわずかの期間内で、どうか圧倒的な“音楽的”成功を収めて輝かしく去っていってもらいたいと願う。

頑張れ小澤征爾