クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

1995/5/27 モナコ 1

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

 夜行電車ではぐっすりと眠ることが出来た。前日、朝早くからミラノに繰り出し、一日中観光で歩き回り、ホテルで休むこともせずにそのままオペラの立ち見に臨んで、直後にバタバタ夜行電車に乗ったため、さすがに疲れたようだ。

 すこやかな目覚めと共にブラインドを開けて車窓の外を見たら、そこは地中海コートダジュールだった。朝日に輝く海!電車は美しい海岸線を進んでいる。思わず「わぁお!」と歓声を上げた。


5月27日、朝。
ついに我々は地中海の真珠と言われるモナコに到達した。

 F1開催ウィークとあって世界中から観光客が集まってきており、町中は大賑わい。特設の土産物屋が並び、カラフルなF1各チームのエンブレムやフラッグが軒先に飾られて華やかさを添える。各チームを経済的に支えるスポンサー(当時はマールボロマイルドセブンなどのタバコブランドが多かった)があちこちにブースを設置し、お祭りに参加しつつ宣伝活動に余念がない。

数あるF1チームの中で最も人気があるのは、今も昔も「赤い跳ね馬」と呼ばれるフェラーリフェラーリのロゴが入った赤いTシャツを着ているファンが一番多い。Kくんも、ちゃっかり赤いフェラーリキャップを買い、さっそくかぶってニワカ・フェラーリファンに変身している。なかなか似合っているよ。

 所々にダフ屋を見つける。
 ダフ屋っていうのは面白いね。国は違えど、いかにも怪しく、いかがわしい素振りは万国共通だ。
 いくらで売っているのか、非常に気になった。チケットを持っていないフリをして交渉したい衝動に駆られたが、やめた。値段を聞いたら、日本からバカみたいな値段で買った自分らを責めることになりかねないもんな。(^_^;)

 ま、そのおかげで最高の席だけどね。目の前のサーキットの先には美しいモンテカルロ港が。波止場には大金持ちが所有する高級ヨットがたくさん止まっている。中には、そのヨット上から観戦しているセレブも。我々のようなパンピーとは決して交わることのないハイソサエティの世界。どうすることもできない階級の違いには、もはやむかつきの感さえも起こらない。

 この日は公式予選日。翌日の決勝レースの並び順を決めるタイムレースだ。ここモナコはコースが狭く、抜けないサーキットとして有名で、このため予選の順位が非常に重要だ。

 我々の席のちょうど背中の裏側がスタート地点になっている。残念ながら振り向いても見えないが、音だけは聞こえる。予選開始時間となったと同時に、サーキットに飛び出す各F1マシーンのエンジンに火がついた。

もう、ね、とにかく信じられないくらいの凄い音!
雷が落ちたのか?ミサイルが撃ちこまれたのか?
あたかも地面を切り裂くかのようなバリバリという爆音!
思わず耳を塞ぐ。
うるさい。とにかくうるさい。これでは耳を痛めかねない。慌てて耳栓を購入した。ベネトンのロゴ入りのかわいいヤツ(笑)。

 コースは周回になっているため、まずスタート地点で背中から轟音を体感。マシーンがコースを進んで離れていくと、それにつれて音が遠くに消えていく。それもつかの間、一度向こうに消えていった爆音がやがて近づき、再び大音量と共に眼前にマシーンが現れたと思ったら、ものすごいスピードであっという間に過ぎ去っていく・・・。こんな感じです。(なかなか文章でこの迫力を表すのは難しいっす。)

 最初はただただ呆気にとられていたが、徐々に落ち着いてくると、電光掲示板で示される順位状況を掌握できるようになった。トップタイムを次々と上位のマシーン、レーサーが塗り替えていく。早いのは当時ベネトンに所属していたM・シューマッハー。それをウィリアムズ・ルノーデーモン・ヒルが追う。最終的にシューマッハーポールポジションを獲得した。順調か。

 レースの模様は場内スピーカーで実況されていた。仏、伊、英、独の4カ国語。フランス語がメインで、この実況アナウンサーのフランス語がやけに格好良かった。対照的に英語、ドイツ語のアナはたくさん話させてもらえず、肩身が狭そうだった(笑)。

 予選終了。この日はいったん拠点の宿があるジェノヴァに戻った。また明日、決勝観戦のためやってきます。

 その前に、夜にオペラ。
 F1のあまりに凄い大音量で、耳が完全マヒ状態。こんなイカれた状態でオペラを聴くことができるのか、と心配したが、何とか夜には普通に戻れて大丈夫でした。

2009年5月27日 ジェノヴァ・カルロ・フェリーチェ劇場
ヴェルディ ファルスタッフ
指揮 アルド・チェッカート
演出 ジルベール・デフロ
レナード・ブルゾン(ファルスタッフ)、ブルーノ・ポーラ(フォード)、ルカ・カノーニチ(フェントン)、ルチアーナ・セッラ(アリーチェ)、アリダ・フェッラリーニ(ナンネッタ)、スザンナ・アンセルミ(メグ) 他


 感想は超簡単にさせていただきます。
 ブルゾンのファルスタッフが素晴らしかった。声がとても美しい。ただし、演技がまじめすぎて滑稽さに欠けていたのが残念。あとは、セッラを聴くことが出来て、うれしかった。
 カルロ・フェリーチェ劇場は、新しく建設され、いわゆる伝統的な馬蹄形ではないが、とてもシックで落ち着いた劇場。なおかつ音響も素晴らしく、大変気に入りました。