クラシック、オペラの粋を極める!

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2009/9/10 スカラ座管

2009年9月10日 NHK音楽祭 ミラノ・スカラ座管弦楽団  NHKホール
ヴェルディ レクイエム
指揮 ダニエル・バレンボイム
合唱指揮 ブルーノ・カゾーニ
バルバラ・フリットリ(ソプラノ)、エカテリーナ・グバノヴァ(メゾ・アルト)、ヨハン・ボータテノール)、ルネ・パーペ(バス)


 合唱・ソロ付き管弦楽曲の名曲として誉れ高いヴェル・レクはとてもポピュラーで、国内コンサートでもしばしば採りあげられ、我々もそれなりに聴く機会に恵まれている。
 だが、そんな中でも‘スカラ座のレクイエム’はまさに「スペシャル」と言っていいだろう。

 これまでもスカラ座オペラ来日のたびにレクイエムの公演が付いていたが、今回もしっかりNHK音楽祭によって継続が確保された。もはや定番になりつつある。

 
 ただし、今回はひと味違う。
 これまでは、合唱やオケだけでなく、指揮者やソリストまでほぼ「オール・イタリアン」(一部のソリスト除く)であり、イタリアの伝統と威信をしっかりと聴くことが出来た。

 今回はご存じのとおり、指揮者(イスラエル人)、ソプラノ(イタリア人)、メゾ・アルト(ロシア人)、テノール南アフリカ人)、バス(ドイツ人)、コンマスオーストリア人-元ウィーンフィルのあの人?マジ?)と、完全にインターナショナルである。


 これをもって、純血にこだわる一部の固執的な(偏執的な?)ファンが、眉をひそめる向きもあるかもしれない。実際、確かにバレンボイムのレクイエムは、これまで聴いてきて耳馴染んでいたスカラのそれとは解釈も音色も異なっていた。

 そんな中で、イタリア本来の伝統的な熱いパッションを、一人その牙城を死守し、強烈かつかなたくなに発信していたのが、バルバラ・フリットリであった。
 強烈と言っても、何も大声で他のソリストを打ち負かしていたわけではない。むしろ、声質はとてもリリックで、やや波長の長いヴィヴラートを駆使しつつ、とても抑制的である。

 彼女が他のソリストと決定的に異なるのは、彼女が歌い上げる音楽がヴェルディのスコアに完全にマッチしているところである。そして、作品全体を掌握し、他の歌手の声部にまで想いを馳せるところである。

 この日の公演に行き、彼女の表情を追っていた人は気が付いたと思うが、彼女は自分のパートだけでなく他のソロパートまで暗譜していて、全ての歌を静かに口ずさんでいた。
 時に険しい表情をし、時に目をつぶって瞑想し、時に指揮者を睨みつけ、時にオケの音楽に身を委ねて体を揺らす。
 まさにヴェルディの音楽の使徒、忠実な下僕として身を捧げていた。その姿からは、ディーヴァとしての神々しい輝きと芳醇なイタリアワインの誇り高き香りが放たれていた。


 こりゃあ釘付けになっちゃうよな。

 しかも、とびきりの美人だし。(笑)

 実際、その姿に魅了され、ファンになってしまった人は多いと思う。
 私の友人にして相棒のO君も何を隠そうその一人。
 彼はフリットリ様のことを、「私のバルバラ」なんて呼んでいる。
 あのさ、そんな図々しい呼称は私との会話の時だけにしておきな。他の熱狂的ファンが知ったら、夜道で襲われちゃうよ(笑)。

 来週のリサイタルも楽しみです。


 あれれ??

 いつの間にか、レクイエムの話じゃなくて、フリットリさまの話になっちゃっているわい(笑)。