クラシック、オペラの粋を極める!

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2025/7/12 カヴァレリア・ルスティカーナ/道化師

2025年7月12日  バイエルン州立歌劇場(ミュンヘン・オペラ・フェスティバル)1
1 カヴァレリア・ルスティカーナ
2 道化師
指揮  ダニエレ・カッレガーリ
演出  フランチェスコ・ミケーリ

アンナ・ピロッツィ(サントゥッツァ)、リハブ・シャイエブ(ローラ)、ジョナタン・テテルマン(トゥリッドゥ)、ヴォルフガング・コッホ(アルフィオ)、ロザリンド・プロウライト(ルチア)

ヨナス・カウフマンカニオ)、アイリーン・ペレス(ネッダ)、ヴォルフガング・コッホ(トニオ)、グラニト・ムスリュー(ペッペ)、アンジェイ・フィロンツィク(シルヴィオ

 

毎年6月末から7月末、バイエルン州立歌劇場の年間シーズンの最後を飾っているのが、「ミュンヘン・オペラ・フェスティバル」。なんと、今年で150回目を迎えるのだという。
150年・・ものすごい伝統であるな。フェスティバル開幕の前日である6月26日には、記念式典が行われたとのこと。

そのバイエルン州立歌劇場のチケット入手は、コロナ禍以降ちょっと落ち着いてきている。
以前はソールドアウト公演が続出で難易度が高かったが、今はそれほどでもなくて、慌てなくても大抵の公演で普通に購入することが出来る。(※注目公演を除く)

・・・が、本公演に関しては注意が必要だった。
というのも、ミュンヘン生まれの大人気テノール歌手J・カウフマンが出演するからだ。いわゆる注目公演。この歌手が出演するだけでチケットは売れるし、しかも価格も上がる。
このため、今回のミュンヘンで鑑賞する5公演のうち本公演だけ、第一次抽選予約で申し込んだ。「申し込んだが、取れなかった」は嫌なので、希望席種の範囲を最高カテゴリー(S席)を含めて広く設定した。
そうしたら、見事(!?)その一番高いカテゴリー席が当たってしまった。
約4万円。高っ!

結果的には、一般発売からでも、もう少し安いカテゴリー席が十分余裕で買えたのである。ちょっと読みが外れ、失敗した。
まあ、あくまでも結果論なのだけど・・。

カウフマン人気も、少しは冷めてきたか? ええこっちゃ。


さて、本プロダクションは、今年5月に新演出プレミエ上演されたばかりのほやほや再演版。初演時の指揮者はD・ルスティオーニ。演出家は、調べてみたら、2013年ヴェネチアフェニーチェ劇場の来日公演、ヴェルディオテロ」を演出していた人であることが判明。天体の星座が描かれた舞台装置が印象的だったことを思い出した。

演出の解釈として、時間の経過や場所の移動といったものを、テーマというか軸に置いている模様。
「カヴァレリア」でいうとトゥリッドゥ、「道化師」でいうとカニオをアウトローの旅人に見立て、彼らは事件を起こしたらそこから追われ、また去っていく。そのための小道具・装置として電車の車両を登場させ、2つの物語を紡いでいく、そんな感じ。
例えば「道化師」では芸人一座ではなくバー&レストランのシェフや店員といった具合に、読替えによって微妙に設定が置き換わっているが、演出家によるテーマ一貫性のために無理やりそうなっているだけなので、あまり詮索せずに展開をあるがままに眺めた方が、受入れが容易だろう。

また、こうしたよく判らない現代演出では、とにかく難しく考えずに歌手など演奏の出来栄えに集中するやり方が無難と思う。
今回では、テテルマン、コッホ、カウフマンといった男性歌手陣が素晴らしい歌声を披露して聴衆を熱狂させた。特にテテルマンが圧巻で、まさに「スター誕生!」みたいな輝きだった。


指揮のD・カッレガーリは、元々の指揮者だったA・バッティストーニの降板による代役。
変更の発表があったのは7月7日で、同演目公演の初日が7月9日だったから、まさに緊急登板。バッティからすると、いわゆる一つのドタキャン。
一体どうした? 何があった? バッティストーニ。
歌手の場合だと喉の不調というのはよくある話だが・・。もしかして、演出や歌手とぶつかってしまい、「こんなんじゃ振れねえよ」と怒って帰っちゃったとか?

カッレガーリはイタリア・オペラの職人指揮者なので、急な代役でも振るだけなら楽勝だろう。どこまで自分の音楽を作ったのかはよく分からなかったが、十分に音楽が鳴っていたとは思った。


最後に、公演の内容ではないけど、バイエルン州立歌劇場におけるお客さんのチケット所持について。

近年、ほとんどの劇場やコンサート主催者がバーコード・QRコード付きのデジタルチケットを採用。チケットをオンライン購入すると、即座にメールでPDFファイルチケットが送られてきたり、リンクによるダウンロードが案内されたりする。そうやって受け取ったEチケットをスマホ画面で提示すれば、入場が可能だ。
なので、私も基本的にモバイル派なわけだが、ここバイエルンの場合、面白いことに、お客さん(※)のほとんどが紙チケットを持参して劇場にやってくる。
ここでいう紙チケットとは、客自身がEチケをプリントアウトした物もそうだが、劇場側が発券した通常チケットを持っている人がかなり多い。両方を足して、全体の8割くらいのお客さんが紙チケット派だ。

どういうことかというと、要するにお客さんの年齢層が非常に高いということ。デジタル化になかなか付いていけない方々。
あるいは、「チケットの所持」そのものが一つのステータスで、黄金の入場券を持参して劇場に通うことに誇りを持っているハイソサエティ連中。
通常、劇場発券の紙チケットは送料などの手数料がかかる仕組みになっているので、余計な費用としてなるべく避けたいところだが、ハイソ連中はまったく意に介さないわけですな。手数料なんて所詮ははした金。なんたってハイソですから(笑)。

以上については、バイエルンの客層の大きな特徴であろう。

 

※ 追記

上記の紙チケット持参のお客さんというのは、あくまでも現地の地元民の様子です。