クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2025/7/19 ダナエの愛

2025年7月19日  バイエルン州立歌劇場(ミュンヘン・オペラ・フェスティバル)4
R・シュトラウス   ダナエの愛
指揮   セバスティアン・ヴァイグレ
演出   クラウス・グート
クリストファ・モルトマン(ユピテル)、ヴィンセント・ヴォルフシュタイナー(ポルクス)、マリン・ビストレム(ダナエ)、アンドレアス・シャーガー(ミダス)、ファン・ヤチュン(メルクール)   他

 

合計10回を数える今回の旅行の公演で、個人的にもっとも楽しみだった演目が、これ。
理由は、簡単。この作品が好きだから。単純に、良い曲だと思うから。
ある意味、劇場とか指揮者とか出演者とか、そういうのは二の次。ダナエをやってくれるのなら私の尻尾は勢いよくフリフリ、どこへでも飛んで行くぜってなもんだ。

音楽もいいけどさ、ストーリーもいいじゃんか。
だってさあ、「絶世の美女ダナエは、金にモノを言わせたオヤジを拒否し、純粋なる愛を選んだ」っつう話だ。その結果、極貧に突き落とされてしまうのだが、ダナエちゃんときたら「わたし、それでも幸せよ~♡」なのである。
クーッ、いい子だねー。感動で泣けてくるね。

「どーんなーに困難で、挫けそうでも、信じることさ、必ず最後に愛は勝つ~」(by KAN)


・・ええぇー、すまん。それでは本公演について。

指揮者ヴァイグレが紡ぐシュトラウスの音楽が芳醇でゴージャス。
読響常任指揮者として日本ですっかり有名になったヴァイグレ(先月末にも日本に来ていた)だが、私自身はこの人は生粋の叩き上げオペラ指揮者だと思っとる。だから、安心して彼の音楽に身を委ねることが出来るし、ひとたび身を委ねたら、あとはもう彼が豪華客船の旅に連れて行ってくれるのだ。
ピット内での指揮の様子も注意深く見ていたが、力みがなく、無駄な動きのないタクトでオーケストラを縦横無尽に操っている。やっぱりヴァイグレは劇場カペルマイスターだ。


歌手では、ダナエ役ビストレム、ユピテルモルトマン、ミダス役シャーガーの3人がいずれも絶品の競演。レベルがめちゃくちゃ高い。
なんか、歌手に感心というより、こういうレベルの高い歌手たちをビシッと揃えられるバイエルン州立歌劇場の方に感心してしまった。やっぱり世界屈指の一流劇場だよなー。


演出について。
なんと前日のチロル音楽祭に続き、2日連続でクラウス・グート演出。
以前の記事でこの人のことを「世界三大困ったちゃん演出家の一人」と書いたが、本プロダクションは比較的穏当。もちろん読替えは行っており、現代の高層ビル内のオフィスの中で物語は展開。ポルクスは破産寸前の社長、ダナエはその箱入り娘でモデル、という設定だが・・・まあなんというか、ただそれだけというか・・。

第三幕の終盤で、荒廃した戦後からの復興みたいな映像を背景に投射させていたが、その意味はあまりよく分からなかった。
グートの場合、問題提起をし、あとはそれをどのように捉えるのかは観客に委ねる、みたいな手法をよく取るので、その意味での正解というのは案外無いのかもしれない。

観客に思考を要求する演出家グート。やっぱ面倒くせー(笑)。