クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

T・スウィフトのライブを通じて垣間見えたクラシックとの大きな相違点

アメリカン・フットボールの最高峰NFLは、先日ラスベガスで開催された第58回スーパーボウルをもって、2023-24シーズンの幕を閉じた。

プレーオフを勝ち上がった2つのカンファレンスのチャンピオンが戦う決勝戦スーパーボウルこそ、全米ナンバーワンのスポーツの祭典。
日本では大谷翔平のキャンプインの一挙手一投足を連日報じているが、そんなものはスーパーボウルに比べれば、箸にも棒にも引っかからないローカル記事のようなもの。人気、注目度の度合いが完全に別次元なのだ。

試合自体は、激戦の末、カンザスシティ・チーフスが見事に優勝。昨年に続いて二連覇を達成したのだが、実は今回、試合とはまったく別の話題が大きく取り上げられ、現地で盛り上がっていた。

アメリカだけでなく世界中の若者が熱狂し、もはや“社会現象”とまで言われるスーパースター歌姫、テイラー・スウィフト
彼女のボーイフレンドが、KC・チーフスの選手(トラヴィス・ケルシー)ということで、スタジアムのVIP席でチーフスと彼氏を応援する姿が、中継映像に何度も捉えられていたからだ。

このスーパーボウルの直前、彼女は来日ツアーを果たし、7日(水)から10日(土)までの4日間で約22万人の日本のファンを熱狂させるライブを敢行。東京での一連の公演終了後、速攻ダッシュでプライベート・ジェットでアメリカに帰国し、日曜日の試合に駆けつけたという早わざも、日米の双方で騒がれていた。

こうしたテイラー効果のおかげなのか、アメリカ国内でのスーパーボウル生放送視聴者数は、過去最多を記録したらしい。


そのテイラー・スウィフト
クラシック音楽しか聴かず、ロックやポップスにほとんど興味がない私でも、お名前とご尊顔はちゃんと知っている。グラミー賞を何度も受賞し、「タイム」誌が選定する「パーソン・オブ・ザ・イヤー 2023」にも選ばれた。経済効果や社会的影響力は図りしれず、万が一政治的な発言をした場合は、アメリカ大統領選挙さえも揺るがすとまで噂されている。


今回、上に書いたとおり、スーパーボウルで大きな話題になっていたことや、直前に日本で旋風を巻き起こしたこともあって、私もつい「どれどれ、どんなもんじゃい?」と関心を掻き立てられ、You Tubeで検索し、映像を観てしまった。
その結果、実に興味深い点を見つけることが出来たのである。
それは、タイトルに挙げたとおり、クラシックのリサイタルやオペラの公演との大きな相違点であった。


まず、You Tubeには、今回の来日公演、東京ドームのライブの様子が、何本もアップされていた。
これらは公式映像ではなく、ほとんどが観客がスマホなどで私的に撮影したもの。これがまず、第一のびっくり。

おいおい、いいのかよ、撮っちゃって。

クラシックのコンサートだと、「録音、録画、写真撮影は、固くお断りします」というアナウンスが入り、こうした行為を行っている人が見つかったら、係の人がすっ飛んでくるだろう。

映像を眺めると、「何人かがこっそりと・・」なんてものではなく、大勢の観客がみんな堂々とスマホをステージに向け、録画をやっちゃってる。

本当なら違法違反なのだろうけど、もう取り締まり、制御は不可能なんだろうね。どうやっても無理。完全にお手上げなのだろう。


ライブが始まると、ボルテージは一気に最高潮になり、観客は総立ち。彼らは、おそらくずっと立ちっぱなし。聴くんじゃなくて、一緒に歌い、踊り、手を振り、叫ぶ。これがライブの楽しみ方であり、醍醐味。彼らなりにパフォーマンスに参加しているわけだね。こうした観客の行為は、ライブの盛り上がりに一役買っている。

そして、録画や撮影のため、手を高く伸ばしてスマホをステージに向ける。
応援ための手作り横断幕を高く掲げる人もいるし、ひどいと、座席の椅子の上に立つマナーの悪い人も現れるらしい。

おそらくだが、ステージをじっくり観たい人にとって、かなり視界を妨げられ、邪魔になっていると思う。
みんな、それでも構わないのだろうか。

クラシックでは、前傾姿勢での鑑賞は、マナー違反。「身を乗り出されますと、周りのお客様の御迷惑になりますので、背もたれに背中を付けてご鑑賞ください。」という注意アナウンスが、多くの会場で入る。
それでも前かがみになると、後ろの人から怒られることもある。

ロックやポップスの大物アーティストの場合、ステージ上の特設スクリーンや、オーロラ・ヴィジョンがあり、そこに映し出されるので、ある程度はそれを見て「良し」としているのかもしれない。多少の視界の妨げよりも、一緒に歌って踊って、の方が重要だったりして。


スウィフトが、3時間半、歌って踊っておよそ40曲を披露したというのも、アンビリーバブルだ。それを4日連続で!

ここで引き合いに出したいのは、オペラ歌手によるオケ伴奏付きのオペラ・アリアなどのリサイタル。
一曲歌うと引っ込んで、次にオーケストラ曲。再度登場して一曲歌うと、またまたオーケストラ曲。
オケ、歌、オケ、歌、歌、オケ、歌、休憩・・。後半、オケ、歌、歌、オケ、歌・・。

いったい何なんだよ! そんなに喉をいたわらなきゃいけないのかよ。

「はい、そうですけど・・・」とかあっさり言われちゃいそうだが・・・

だけどさ、あなた達、リーダー(歌曲)リサイタル、例えばシューベルトの「冬の旅」とかシューマンの「詩人の恋」とか、通しで歌うじゃんか。一作品の中にインターバル、挿入しないよね。

別にさ、オーケストラの間奏曲は不要、やっちゃいかん、とか言わない。
けどね、もうちょっと何とかならんのか!?

と、テイラー・スウィフトさんを見て、そう思いますた。

もしかして口パク入れているのか?? だから出来るのか??  公然の秘密だったりして??(笑)

いかんいかん。スウィフト・マニアに侮辱罪で訴えられてしまう。冗談です。