クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

ラフマニノフ

生誕150周年のラフマニノフ。記念年ということで、今年は彼の作品がプログラムに入っているコンサートがやたらと目立つ。演奏を予定しているピアニストにとって、気合が入る年かもしれない。反田恭平、藤田真央、牛田智大、阪田知樹といった人気・実力の両方を兼ね備える日本の若手ピアニストたちが次々とコンチェルトを披露することになっていて、ファンにとってはたまらないイベントだろう。

個人的に注目しているのは、ラハフ・シャニ指揮ロッテルダム・フィルと共演する藤田真央くんのコンチェルト3番。真央くんもさることながら、クラウス・マケラとともにただいま欧州の楽壇を席捲中のラハフ・シャニが伴奏でタクトを振るので、これは期待大だ。

それから、阪田知樹が「ピアノ協奏曲一挙全曲演奏(パガニーニ・ラプソディ付き)」に挑戦するのも要注目。

そうか、やっぱりやる人が現れたか・・。
個人的に「実現させたら、かなり面白い企画だと思うけどなー」と密かに思っていた。もしかしたら、こうした企画物が好きな清水和音さんとか横山幸雄さんあたりがやるんじゃないかと予想していたが・・・なるほど、阪田君か、ほほう。
相当の気力・体力がないと無理だろう。やっぱ若手じゃないとダメか。かなり無謀な企画だと思うが、若さの勢いでやってしまえ!って感じか。


協奏曲だけでなく、ソロのピアノ作品、交響曲など、数多くの名作を世に送り出したラフマニノフ。生前、一部の評論家や演奏家たちから容赦ない批判を浴びていただなんて、信じられない。
クラシックに限らずどんなジャンルの音楽でも、甘美な旋律の魅力は、人々を惹きつけてやまない黄金の輝きである。プッチーニなんかも一部の専門家からそうした批判を受けることがあるが、音楽というのは専門家の物ではない。聴衆の支持こそが絶対なのである。

そういうことで、有名なピアノ協奏曲第2番は本当にいい曲だと思うし、私も大好きだ。第2楽章の冒頭、ピアノのイントロが4連符に聞こえるのに、実は3連符であるという、魔法のような作曲技法なんか、マジ絶品だよなー。

大学時代、所属していた管弦楽部でこの曲を採り上げたことがあり、私もヴァイオリンパートで演奏した。この時たまたま2ndヴァイオリンのパートトップを務めていたため、自分の席が最前列、つまり鍵盤の目の前だったので、ソリストが繰り広げる華麗なピアニズムを間近で観察できたのが、感涙モノの体験だった。

この大学時代のラフP演奏については、ちょっとしたエピソードがある。
ソロを務めたピアニストさんは一応プロだったので(それほど大したことはなかったが(笑))、オケと合わせるのは本番の前の数回。それまでに数多く回を重ねる毎度の練習には来てくれない。
そういうことで、我がオケは練習に付き合ってくれるピアニストを探していた。オケの仲間の中にはピアノを弾ける人もいたが、さすがにラフマニノフは素人にとっては敷居が高い。当たり前だが、技術的に難しいのである。

オケの執行部連中は頭を抱えていた。
「誰かいないなかなー。うーん・・・。」

実は当時、私には東京芸術大学作曲学科に通う友人がいた。
「あのう・・・保証はしませんけど、そういう友人がいるので、ちょっと相談してみましょうか。」
執行部はこの話に飛びついた。
「頼むっ!! お願いします!!」

さっそく友人に相談。速攻の返事が来た。
「ちょうどラフマニノフを練習しているピアノ科の学生がいるから、紹介するよ。」

紹介を受けた芸大生くん、将来プロを目指すピアニストの卵が、我が大学にやってきた。
さっそく我々が伴奏するラフマニノフピアノ協奏曲第2番を披露。

さすがは芸大生! う・・上手い!! すっげー!! わーお!

練習後、オケ仲間たちが興奮気味に私に駆け寄ってくる。

「サンジさん(仮名 オレね)が連れてきた人、すごい!!」
「こんな素敵な人を連れてきてくれてありがとう!」
「芸大生に知り合いがいるんだぁ、カッコいい!」

鼻高々で、思い切りふんぞり返ったオレ。
「はっはっは。まあねぇ・・・。」

別に単に仲介しただけなんだが(笑)。