クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

2021/4/24 日本フィル

2021年4月24日   日本フィルハーモニー交響楽団   サントリーホール
指揮   アレクサンドル・ラザレフ
グラズノフ  交響曲第7番 田園
ストラヴィンスキー  ペトルーシュカ


4月17日から始まった私の怒涛のコンサート週間は、緊急事態宣言という遮断器により、突如クローズしてしまった。
予定では、昨日25日は新国立劇場で「ルチア」、本日26日は都響で「タコ1」&「大地の歌」のはずだった。これらは残念ながら中止になった。開催されていれば10日間で8公演の鑑賞だった。
クラシックのコンサートは、広い空間の中で聴衆は静かに黙って鑑賞するので、「感染リスクは大きくない」という専門家の意見が出ているし、事実、会場を源とするクラスターはこれまで発生していない。主催者は感染対策を怠りなく施しているし、別にいいじゃんかとも思う。
それでも、今回の場合は目的が「人流の抑制」ということだし、クラシックコンサートだけでなく、映画館を含めすべての劇場・会場が閉鎖となる。そこまでするというのなら、これはもう仕方がない、黙って従いましょう。

と、このようにスッパリと諦めの境地にたどり着けたのは、ギリギリセーフで聴くことが出来た日本フィルの演奏が実に素晴らしく、この上ない満足感に浸ることができたからだ。
いやー、ラザレフさんが来日することができて本当に良かった。ラザレフ&日本フィルの演奏を聴けて本当に良かった・・・。

断言しよう。ズバリ、「The・名演」だった。
もしかしたら、これまでに自分が聴いてきたすべての日本フィルの演奏会の中で、一番かもしれない。これに匹敵する感動を得られた日本フィルの公演として、思い当たるのは、2014年10月、チャイコの弦セレとショスタコ第4番というプログラムの公演くらいだ。その時の指揮も、もちろんラザレフ将軍。

東京春祭オケ公演のブログ鑑賞記で、私は「偉大な指揮者の導きによって、奏者全員が同じ方向を向いて全精力で演奏した時、音楽は至高に到達する。」と書いた。今回、同じ現象が日本フィルでも起きた。
ラザレフを待ち望んでいたのは、お客さんだけでなかった。日本フィルの奏者の皆さんもそうだった。彼らはラザレフの下で、まさに水を得た魚のようだった。

ただし、東京春祭オケと決定的に違っていたことがある。
春祭ではオーケストラが完全に指揮者の下僕になっていたのに対し、日本フィルでは指揮者との信頼関係が出来上がっていて、要求に応えつつ、自分たちが持っている演奏解釈を指揮者に投げ返すというやりとりが展開されていたこと。
なるほど、これこそが既存のプロオケ集団の余裕なんだな、指揮者とオーケストラとのプロフェッショナルな関係なんだな、と感心した。
こうした共同作業によって音楽が生き生きと輝き、聴く側も心から楽しむことができた。

楽しかったと言えば、やっぱりラザレフのステージパフォーマンス。毎度おなじみ。
フルートのソロ部分では、「はい皆さん、ちゃんと聴いてあげてね」とばかりにタクトを振るのをやめて指揮台から降り、客席の方を向いちゃうし、演奏終了後も、拍手喝采を自分ではなく全部オーケストラに捧げるようにお客さんを煽ろうとする。

ラザレフ最高! もう本当に最高!
そして、こんな素敵な指揮者を桂冠指揮者に迎え入れている日本フィルも最高。
次回、10月の来日もどうか叶いますように。絶対に行きますから。