2021年10月23日 日本フィルハーモニー交響楽団 サントリーホール
指揮 アレクサンドル・ラザレフ
福間洸太朗(ピアノ)
リムスキー・コルサコフ 金鶏組曲、ピアノ協奏曲
ショスタコーヴィチ 交響曲第10番
私はラザレフが好きだ。
日ごろから「好きな指揮者」としてちゃんと自意識しているかというと若干そうでもなくて、人から「好きな指揮者は?」と聞かれても、正直、真っ先に思い浮かぶ人ではない。
だが、日本フィルの公演ラインナップを見つけると、いつも必ずラザレフをチェックするし、これまでになんだかんだで合計23回の公演に足を運んでいる。で、行けば必ず「いやー、ラザレフ最高!」と大満足する。
もういい加減、しっかり自意識しよう。「私の好きな指揮者は、ラザレフ!」
(一番ってわけじゃないけど(笑))
ファンからは「将軍」という愛称を貰っている。私も時々そう呼ばせてもらうこともあるが、でもよく考えると、私の中では「将軍」じゃないな。将軍だと厳しい司令官というイメージがある。
私のラザレフは、「愛すべきオヤジさん」だ。
あんなにも素晴らしい音楽を作ってくれて、それって「ラザレフさん、あなたのおかげでしょ」なのに、その手柄をすべてオーケストラに捧げようとする姿は最高だし、思わずクスッと笑ってしまうステージパフォーマンスも最高。
この日も、ピアノ協奏曲の最後の音が鳴り終わり、まだ残響が残っているタイミングで、会場の誰よりも真っ先にピアニストに向けてフライング拍手したのは、なんと指揮者ラザレフ!
もう、ホント最高。
指揮者としての腕前も、もちろん卓越。才能もそうだが、なんというか、「持ってる物」というか、やっぱ格が違うのである。
ちょうどつい先日、10月21日の都響公演の感想ブログで、R・シュトラウスを演奏する際の日本人指揮者とドイツ人指揮者の違いについて書いたばかり。
「既に自分の身に形成され、備わっているバックグラウンドを駆使して楽曲のテクスチュアを開示した時、圧倒的な説得力を伴って音楽が構築されてしまう。」
これね。これがラザレフにも完璧に当てはまる。
それが証拠に、ラザレフが振ると、日本フィルの音が変わるのである。ラザレフの音になる。ショスタコに相応しい音になる。
インキネンが振っても、音色自体は変わらんで。
私が言いたかった「備わっているバックグラウンドで、圧倒的な説得力を伴いながら音楽を構築」というのは、ラザレフの演奏を聴けばその意味が分かるのであった。
次の来日は来年6月。もう今から楽しみで仕方がない。