クラシック、オペラの粋を極める!

海外旅行はオペラが優先、コンサートが優先、観光二の次

1997年9月 ウィーンへの道2

Nくんにとって、初めての海外旅行だそうだ。
でも大丈夫。まったくノープロブレム。任せなさいって。
この時、私、既に海外旅行15回目。ウィーンも4回目。
もう、ね、私がツアコンになってぜーんぶ案内したげる(笑)。

それに、我々にとって最重要なのはオペラ公演だ。だから、ウィーン国立歌劇場の公演チケットをしっかり確保した時点で、準備は万端整い、この旅の成功は確約されたようなものなのだ。

ウィーンでの鑑賞スケジュールは以下のとおり。
9月12日 「ドン・カルロ」 M・ハラス指揮
9月13日 「トリスタンとイゾルデ」 Z・メータ指揮
9月14日 「サロメ」 S・ヤング指揮  ベーレンス出演! これがメインね
9月15日 「エフゲニー・オネーギン」 S・ヤング指揮
サロメのベーレンス以外にも各公演の出演者は一流の歌手がバッチリ揃っていたが、その紹介は個々の公演概要の際に記していく。

以上の4公演を鑑賞した後、私はパリを経由し、帰国の途につく。仕事の関係で、これ以上の休暇取得は難しかった。

一方、Nくんは、せっかくの海外旅行だからということで、その後私と別れ、独りでもう少し旅を続け、ミュンヘンやミラノに向かうという。素晴らしいじゃないか。


ウィーンに関して言えば、初めてのNくんのために、私自身既に行ったことがある観光ポイントに御案内して回る、というパターンがどうしても多くなるだろう。
別に何の問題もない。「ハイ喜んで!」って感じである。
でも、それだけではやっぱり物足りない。私がまだ行ったことがない場所も是非観光したい。

そういうことで、こちらの希望も盛り込ませてもらった。
それが「ヴァッハウ渓谷ドナウ川遊覧船観光」と「ブラチスラヴァ市観光」だ。

ブラチスラヴァは、ウィーンから日帰りで十分行ける近い都市。
とはいえ、スロバキアという外国への出入国である。
チェコから分離独立して約4年。当時、日本人は入国に際し、たとえ短期観光であってもビザ取得が必要であった。(※現在は短期観光なら免除)
私達は、日帰り観光ということで、普通の観光ビザよりも更に滞在許可承認が簡易化された「トランジット・ビザ」(通過用)を取得することにした。手数料もそっちの方が安い。
だがいずれにしても、大使館に出向いての申請手続きが必要であることに変わりはない。

このビザ取得というのは、非常に厄介で面倒だった。
大使館での受付は平日の午前のみ。日本国の祝日だけでなく、母国スロバキア国の祝日も休みで閉館する。(ったく、いい身分だよな)
郵送は受け付けず、申請、それから受取りのために、二回出向かなければならない。
しかも、一日の受付数に制限があるため、朝早く行って、並ばなければならない。万が一受付の制限を越えたら、いくら並んでいても「ハイお疲れ様、また出直してください」らしいのだ。

信じられる? まったく、なんという横柄さだよ!
旧東欧、元共産国の硬直的な官僚主義を引きずっているとしか思えないな。

この面倒くさい手続きを、Nくんが「私がやりましょう」と一手に引き受けてくれたのはありがたかった。私は仕事が忙しくて休むのが難しかった。本当にサンキュー。

最後に、旅行の準備、打ち合わせの一環で、私はNくんのご自宅に伺い、お母様に挨拶した。
Nくんにとって初めての海外旅行。唐突に決まったことだし、御両親としても心配があっただろう。「どういう人と一緒に行くの? 大丈夫なのその人?」みたいな気持ちも、もしかしたらあったかもしれない(笑)。
だから、御挨拶は重要。ちゃんとしておこうと思った。あの、決して怪しい人じゃありませんから(笑)。
これでなんとか信用してもらえたかな?


以上でプロローグはおしまい。いよいよ次回から現地の旅行記をスタートします。