日帰りでのブラチスラヴァ観光のために、日本でビザを取ったことについては、プロローグで書いた。
ベルリンの壁が崩壊し、東と西の冷戦構造が解消されたとはいえ、入国管理はまだまだ厳重。観光だけなのに審査がある。面倒くさいが、一方で、ちょっとエキサイティングな感じ。
ウィーンから電車で約1時間。国境を越えた付近で、電車は一時停止。制服を着た警察官と入国管理官が車内に入ってきた。
「キター!」
緊張する瞬間である。
彼らは乗車している客全員のパスポートを回収していった。どうやらその場ではなく、いったん集めた上で、別場所でチェックする方式のようだ。
こちらとしては、事前の手続きに抜かりはないし、そこで問題が起こることは決してないんだけど、「海外では命の次に大事」と言われるパスポートを黙って渡し、そのまま持っていかれてしまうのはチョー不安・・・。
現在スロバキアは、短期旅行でのビザが不要などころか、EUの一員として圏内の自由な往来が認められ、しかもユーロ統一通貨を使用している。東欧の痕跡は消失しつつある。
つまり、この時のような「見えない障壁」「審査されるドキドキ」はもう味わうことができないわけだ。
ブラチスラヴァ中央駅に到着。下車前にパスポートが無事に返還され、入国が許された。
よし、こうなればもうこっちの物だ。
さあ、それではスロバキアという国を探索してみよう。首都とはいえ、小ぢんまりした古都で、旧市街の散策だけなら徒歩で十分。
街のシンボル、ブラチスラヴァ城。
旧市街からはそのそびえ立つ威容が望めるし、お城からは旧市街、ドナウ川、川向うの新市街を見下ろす景観が素晴らしい。
(川向うの新市街に無機質な団地が立ち並ぶ様は、なんとなく旧共産主義国っぽい。)
街の中心、旧市庁舎前のフラヴネー広場は、人々の憩いの場。
この像はユニークでユーモアがあって、市民や観光客に愛されていそうだね。
スロバキア国立歌劇場。
その劇場前で、掲示されている公演告知ポスターを発見。なんと、母国が産んだ偉大なスター・ソプラノ!! キャー♡
凱旋公演というわけだねー。
しかも指揮はスロバキアを代表する名指揮者オンドレイ・レナルトではないか。新星日本交響楽団の首席指揮者だったこともあり、日本でもおなじみだ。
9月22日かぁ・・・。一週間後なんだな。聴きたかったよな。残念。
もっとも、日程がうまく重なったからといって、チケットが取れるかどうかはまったく別問題だが。
現在、ブラチスラヴァには、こちらの旧劇場と、近代的でよりキャパシティが大きい新劇場の二つがある。
残念ながら、私はまだ一度もブラチスラヴァでオペラを鑑賞したことがない。
一度行くチャンスがあったのだが、他国でもっと興味深い公演が見つかり、計画を変更してしまった。
考えてみれば、ブラチスラヴァはウィーンから気軽に行けるのだから、ウィーンでオペラを観て、ついでに足を延ばすことは決して難しくないはず。ならば、今後もきっとチャンスがあるだろう。
物価、相変わらず安いのかなあ・・・。
市電の一回乗車券、たしか30円くらいだったぜ。「昭和か?」って感じ。
まずはとにかくその前に、コロナの収束が先決だが・・・。