ジュネーブからウィーンに飛行機で移動。
スイス滞在中は天気が概ね良かったが、ウィーンではどんよりと曇り。雲が厚くて昼間から薄暗い。いわゆる典型的な欧州の冬景色だ。
ウィーンは、なんと今年だけで3回目である。トータルでは、ちょっとすぐに数え切れない。もちろん何度訪れても魅力的で、行けば行くだけの回数分、素晴らしい音楽を提供してくれるありがたい街であるが、さすがに観光スポットは完全に見尽くしてしまった。今回も既に行ったことのあるスポットのリピートである。
シュターツオーパーすぐ裏手にあるアルベルティーナを訪れた。素描画や版画を中心とした美術館である。改装されており、初めて訪れたような新鮮な感慨をもたらしてくれた。きれいになって、宮殿風の豪華な室内装飾が一層引き立っている。
その後、セセッション分離派会館でクリムトの大作「ベートーヴェンフリーズ」を見た。第9の歓喜の歌をモチーフにして作られた壁4面の壁画である。
最後に本日夜に訪れるアン・デア・ウィーン劇場を下見に訪れた。
アン・デア・ウィーン劇場は、これまでミュージカルなどを中心とした多目的劇場であった(時々はオペラもやっていた)が、昨年度から年間でオペラ演目をシーズンラインナップし、高らかに「ウィーンの第3の歌劇場」として名乗りを上げた。なかなか取り上がられることのない珍しい演目や前衛的な演出などで個性を際だたせ、一躍「アン・デア・ウィーンここにあり」と名がとどろいた。
劇場は、内部は趣のある雰囲気の良い劇場であるが、いかんせん入り口が良くない。ただのビルの入り口で、まるでニューヨークのミュージカルシアターのようだ。ネオンサインも光っている。しかしビルの脇に回れば、その昔の劇場のたたずまいを残し、有名な魔笛のパパゲーノの彫刻があって、かろうじて伝統と歴史を偲ばせる。
本日鑑賞予定のキャストを確認してびっくり。主役のソプラノ歌手ソイレ・イゾコスキが変更になっている。パンフレット類の印刷でも既に変更になっていたので、突然の病気によるキャンセルというのではないのだろう。
イゾコスキは、シュターツオーパーの常連で、宮廷歌手の称号も得ている名歌手。彼女に非常に期待していたので、これは残念であった。
果たして、役を覚えきれなかったか(ものすごい膨大なセリフ量なのだ)、過激な演出とぶつかって「こんな演出ではできないっ!」と怒って降りてしまったか?
有名歌手の降板は残念だが、そうやって降板理由を勝手に想像ししながら「まったくしょーがねえなー。」とつぶやきつつ、観光を終えてホテルに戻った。
公演のレポは改めます。