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2013/3/19 読響

2013年3月19日   読売日本交響楽団   サントリーホール
指揮  シルヴァン・カンブルラン
マーラー  交響曲第6番悲劇的


 カンブルラン!すごい!驚いた。なんというスコア読解能力なのだ!
 いや、カンブルランがいい指揮者だということはもちろん知っていたし、楽譜を読み取る能力についても以前から高く評価していた。だが今回、改めて思い知った。これほどまでとは・・・。恐るべしカンブルラン!

 マーラー6番を振るのは、今回が初めてだったそうだ。
 この曲のためにいったいどれだけ準備したかは知る由もない。だが、はっきり言おう。「完璧」だ。
 音符がぎゅうぎゅうに詰め込まれた巨大なマーラーのスコア。一歩間違えばカオスに陥り、あっという間に破綻しかねない複雑なスコアを、カンブルランはいとも簡単に(かどうかは知らないが)手中に収めていた。まるで真っ暗闇の中でもどこに何があるのか全て頭の中に入っていて、何事も無く平然かつ機敏に仕事をしているかのような見事な捌きだった。

 音楽が完全に掌握されているため、他の指揮者では大きなうねりの中に埋没して聞こえない旋律やアタックが、次から次へと浮かび上がってくる。「ここで鳴ってほしい、ここで聞かせてほしい」という音がしっかりと聞こえる爽快さ!
 それだけではない。何度も寄せてくるエスプレッシーヴォの波に決して押し流されずに、巧みに制御を加えながら、ピークに持っていくタイミングをきちんと計算している。そして、いよいよ最高潮に到達した時の切れ味の鋭さ!鮮やかさ! これは天国にいるマーラーもさぞかし驚いているに違いない。

 読響の合奏能力も大絶賛させていただきたい。特にトランペット、最高だったぜ。

 それにしても、都響にしても読響にしても、なんでこんなに水準の高いマーラーを演奏できるのか。驚嘆せずにはいられない。これまでにも外国のオーケストラでこの曲を何度となく聞いているが、引けをとらないどころか、凌駕するほどのレベルである。

 次は6月、今度は新日本フィルでハーディングがこの曲に取り組む。
 ハーディングさんよ。気合を入れて臨んだ方がいいよ。近年の日本の聴衆は、マーラーに関して言えば、相当耳が肥えているよ。かなりハードルが高いよ。頼むぜ。