クラシック、オペラの粋を極める!

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2019/1/13 サロメ

2019年1月13日   ライプツィヒ歌劇場
指揮  ウルフ・シルマー
演出  アーロン・シュティー
ミヒャエル・ヴァイニウス(ヘロデ)、カリン・ロヴェリウス(ヘロディアス)、マヌエラ・ウール(サロメ)、トーマス・プルシオ(ヨカナーン)   他
 
 
オペラの楽しみ方の一つとして、ご贔屓の歌手に期待するというのがある。
前日のばらの騎士に無くて本公演のサロメにあるもの、それは私のご贔屓の歌手の登場だ。
タイトルロールのマヌエラ・ウール。私が今ドイツ系歌手の中で、注目し、活躍を期待している歌手である。
日本でも、新国立劇場の「ローエングリン」のエルザ、東京フィルの「フィデリオ」のレオノーラでその麗しの歌声を聴いて名前を知った人も多かろう。
 
お目当ての歌手に期待するというのは、いい。
例え指揮者の音楽や舞台演出に目を見張る物が見つからなかったとしても、一人の素晴らしい歌声に魅了されれば、公演全体が好印象に包まれる。「聴いてよかった」「ここまで聴きにきてよかった」と思えるのである。
(逆に、お目当ての歌手に期待して、突然のドタキャンに見舞われ、公演全体が悪印象に包まれることも当然起こりうるわけであるが。)
 
マヌエラさん、期待どおりの絶唱
想像していたとおり、彼女の声はサロメに合っている!瑞々しく、繊細で、それでいて芯があり、筋が通っている。決して力に頼って吠えることなく、理性的な佇まいを湛えている。
ついでに言うと、容姿もお美しい。まさに理想的なサロメお姫様。
サロメ歌いを探している劇場関係者。おーい、ここにいる!ここにいるぞ!
 
演出は、現代チック。世界の紛争地域における戦闘最前線が舞台の場所。ならばヨカナーンは、そこに囚われている捕虜という感じで、まあ結構ありがちな構図だが、悪くはない。
 
シルマーの音楽は、前日と同様、安定性に満ち、均衡が取れていて、音楽が強固な塊だった。スコアは完璧に再現され、オーケストラの造形が非常に鮮明。指揮者の引き出し方もさることながら、ゲヴァントハウス管の名人芸に舌を巻く。この演奏なら、世界のどこに出しても誇れる逸品と言えるだろう。